離婚

妻から夫に対し子の引き渡しを求めた事件

妻から夫に対し子の引き渡しを求めた事件で、保全処分・審判の申立→調停→審判という手続を経て妻の申立てが認められました。

最近の子の引き渡しの判断基準とされているものには次のようなものがあります。(判例タイムズ1100号182頁)

①乳幼児期における母性優先の原則

特に2、3歳までの子については母子の相互関係が子の心理発達にとって必要不可欠であると指摘されています。
ただし、母性とは生物学上の母親ということだけではなく、子と母性的なかかわりを持つ養育者として理解して、父母のいずれがそのような役割を担ってきたかについて検討されるべきものとされています。

②継続性の原則

これは単に現状を追認するというものではなく、子の出生時からの生育歴を全体的に見て判断するというものです。
ただし、就学後は、監護環境(住居や学校、友人関係等)の継続性が尊重されるようになります。

③子の意思の尊重

子が15歳以上であるときは、子の意見を聴かなければならないと定められています。
実務的には概ね10歳以上の子についてはその意思を尊重する傾向にあるようです。
ただし、その意思が子の真意か否かについては、紛争渦中に置かれた子の心身の状況に配慮した調査官による意思確認が必要となります。

④面接交渉の許容性

子は、父母双方と交流することにより人格的成長を遂げるものであることから、婚姻関係が破綻した後も父母の相互補完作用のある監護環境が望ましいとされています。
それゆえ、最近は、他方の親との面接交渉を許容できるかということも重要な判断基準とされています。

⑤有責性

不貞等の婚姻破綻についての有責性そのものは監護基準に直ちに影響するものではないとされています。
これについては不貞相手との恋愛感情が優先して子の養育を阻害しないかという点から考察されることになります。

⑥きょうだい不分離

きょうだいの心理的な結びつきが強い場合は同一の親もとで監護されることが望ましいとされています。


この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

愛知県名古屋市にある法律事務所です。

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