交通事故
- 交通事故の被害者の損害請求のポイントはなんですか?
- 保険会社は、被害者に代わって示談交渉や訴訟をしません。
被害者やその家族などが加入している自動車保険に「弁護士費用担保特約」があれば、自分で選んだ弁護士の費用や裁判費用を負担してくれます。
交通事故の損害額には、いくつも計算基準があります。
保険会社は、強制保険基準で、計算することが多いです。
強制保険と裁判所基準では大きな差があります。 - 交通事故の損害額計算のポイントはなんですか?
- 交通事故の損害額には、いくつも計算基準があります。
保険会社は、強制保険基準で、計算することが多いです。
強制保険と裁判所基準では大きな差があります。
資金繰りに行きづまる前に相談することが成功の秘訣です。例えば
死亡の慰謝料
強制保険基準 900万円以上
裁判所基準 2000万円以上
後遺症一級慰謝料
強制保険 1100万円から1600万円
裁判所基準 2800万円
- 病院から交通事故では健康保険は使えないといわれましたが本当でしょうか?
- 交通事故において健康保険や国民健康保険が利用できるかは昔から法律相談のあるところです。
ご相談者からは、「医療機関から交通事故では利用できませんと拒否された」とのお困りの相談もあります。
この点については、昭和43年10月12日保険発第106号各都道府県民生主管部(局)長あて厚生省保険局保険課長国民健康保険課長通知にて健康保険及び国民健康保険の利用ができます。
通達には、「なお、最近、自動車による保険事故については、保険給付が行われないとの誤解が被保険者の一部にあるようであるが、いうまでもなく、自動車による保険事故も一般の保険事故と何ら変わりなく、保険給付の対象となるものであるので、この点について誤解のないよう住民、医療機関等に周知を図るとともに、保険者が被保険者に対して十分理解させるよう指導されたい」との記述もあり、利用の拒否に理由がないことを明記しています。 - 保険会社から提示された損害賠償金は正当な金額でしょうか?また今後どのような手続きを取れば良いでしょうか?
- 損害額を算定する基準には、自賠責基準、任意保険基準、裁判所基準があります。
最も低い基準が自賠責基準で、高いのは裁判所基準です。
自賠責保険は被害者保護のために法律で最低限保障されたものですが、任意保険会社も自賠責基準で損害額を算定する傾向にあります。
例えば、治療期間90日、通院日数30日の場合の慰謝料額は、自賠責保険及び任意保険だとおおよそ25万円程度なのに対し、裁判所基準ではおおよそ50万円ほどとなります。
ただし、慰謝料額は怪我の程度、通院頻度などで多少の幅はあります。
今後の手続きとしては、弁護士に交渉を委任すれば裁判所基準を前提での交渉が可能となりますし、交通事故紛争処理センターに申し立てても、やはり裁判所基準を前提とした示談斡旋を行ってくれます。 - 相手方の保険会社が過失割合を主張してきたのですが,どうしても納得できません。事故の過失割合はどのように決まるのでしょうか?
- 交通事故の損害賠償請求では、過失相殺によって損害賠償の金額が減額されることがあります。
過失相殺とは、当事者間の公平を図るため、被害者側の過失を考慮して、損害賠償の金額を決める制度のことです。
過失相殺においては、当事者双方の過失を割合的に把握し、その割合に基づいて損害賠償の金額を調整します。この基準となる割合のことを「過失割合」と呼びます。
例えば、総額1000万円の損害が発生した場合で、被害者に3割の過失があったときは、加害者には差額700万円だけ請求できることになります。
このように過失割合は、損害賠償の金額に大きな影響を与える制度であるため、その認定基準が問題になりますが、法律上、具体的な基準は定められていません。
最終的には、裁判所の裁量によって決定することになりますが、不公平にならないよう、過去の裁判例をもとに一定の基準が用意されており、実務的には、「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準・全訂5版」(別冊判例タイムズ第38号)が有力な基準になっています。 - 保険会社が治療打ち切りを通告してきましたが、どうすれば良いでしょうか?
- 法律的に、症状固定日までの治療費を加害者が支払い症状固定日以降は被害者が自費で通院することになります。
症状固定というのは、今後、治療を継続しても症状の改善が見られないような状態の事です。なお痛みが残っているので症状固定していないということにはなりません。
むち打ち症のように痛みが永続すること自体が後遺症と言えることもあるからです。
したがって症状固定時期に達した場合は、後遺症認定申請を受けて以後は後遺症として処理することとなります。
ところで、保険会社の言う治療の打ち切りは、通常は治癒または症状固定時期になったという主張であると思われますので、まだ治癒していないか治療の継続により症状の改善がみられる状況であれば医師には、治癒していないか治療継続で症状の改善がみられることを保険会社に説明してもらうべきでしょう。
それでもダメであればとりあえず自費で治癒または症状固定日まで通院して、治癒または症状固定後に治療も含めて裁判で請求することになります。 - 加害者が謝罪やお見舞いに来ないときに、そういった行為を加害者に求めることはできるのでしょうか。また、このように加害者の態度が不誠実な場合、損害賠償で何とかすることができないでしょうか。
- 交通事故の加害者に対して、法的に謝罪やお見舞いを求めることはできません。
加害者に対して法的な権利として求めることができるのは損害賠償請求です。
加害者の不誠実な対応を慰藉料の金額の増額の理由にすることができないかが問題になりますが、場合によっては増額の理由になります。
どのような場合に増額されるかについて明確なルールはありませんが、過去の裁判例をみると事故後の対応が極めて悪質(ひき逃げ,証拠隠滅,被害者に対する責任転嫁等)といえる場合であれば、事故後の対応が慰藉料増額の理由として認定される傾向があります。
例えば、事故内容について虚偽の供述を行った事件や、刑事裁判で不合理な理由で容疑を否認した事件などでは裁判所は,加害者の態度が著しく不誠実であるとして慰藉料の増額を認定しています。 - 脇見運転で電柱にぶつかってしまいました。幸いけが人はいないのですが、私の車のバンパーが壊れて、電柱も大きく損傷しました。どのように対応したらよいでしょうか?
- 自損事故の場合には警察への届出は不要と思われている人もいるようですが、警察への報告義務があります。
まずは、警察に電話をして、現場で事故の状況等を説明してください。
この届出によって事故証明書の取得が可能となり、保険金の支払いがスムーズになります。
また、ご自身が契約している自動車保険の保険会社への連絡も早めにするのが望ましいです。電柱の損傷という物損事故は保険会社にて保険金支払手続きを進めてくれますので、早めに連絡することが望ましいです。
自車のバンパーの修理費用が大きくなる場合には、ご自身が契約している自動車保険の車両保険の適用も検討するとよいでしょう。 - 歩道を歩いていたところ、後ろから自転車に乗って走行してきた小学校6年生に自転車をぶつけられて怪我を負いました。私は誰に賠償請求できるのでしょうか?
- まず運転していた小学6年生に賠償責任が認められるかですが、過去の裁判例を見てみると小学生については責任を否定する裁判例が多いようです。中学生になると賠償責任が認められるケースが多いようです。
次に両親の賠償責任ですが、運転者が賠償責任を否定されるケースでは親の監督責任が肯定されているケースがほとんどです。
したがって本件でも小学生の親に賠償請求ができる可能性は高いといえます。
なお運転者が中学生で賠償責任が運転者に認められる場合に、親の監督責任も認められている裁判例がありますので、どちらか一方のみに賠償責任が限定されるわけではありません。 - 私の夫は交通事故で両足の大腿骨を骨折して入院しています。付添いに毎日通っていますが、付添費用の請求は認められますか?
- 一般的に完全看護の病院では医師の指示に基づく付き添いでないと付添い費用は出ないと言われています。
しかしながら完全看護病院であって医師の指示がなくてもやむを得ない場合は付添い費用が認められています。
例えばギブス等によって固定されており食事、排せつ、着替え、歩行等が一人では困難であるようなケースで介助の必要性を認めて付添い費用を認めている裁判例もあります。
したがって支障のために強い必要性があれば付添い費用が認められる可能性があります。 - 交通事故で孫が亡くなりました。孫とは年に1回会う程度で一緒には住んでいなかったのですが加害者が飲酒運転であったということですので許せません。慰謝料の請求はできますか?
- 裁判例では、子供、配偶者、父母以外にも慰謝料請求を認めているケースがあります。
ケースバイケースといえますが、同居していない孫が死亡したケースで祖父母に慰謝料請求を認めた裁判例がいくつかあります。
また逆に祖父母が交通事故で亡くなったケースで同居して扶養されていた孫に慰謝料の請求を認めた裁判例もあります。 - 私は、69歳ですが骨粗鬆症で病院にかかっていますが、先日、歩行中に自転車事故に遭って現在入院していますが賠償金が減らされることはありますか?
- いわゆる骨粗鬆症が「疾患」として素因減額がされるかどうかが問題となります。
裁判例では骨粗鬆症にかかっていたことによってかならず素因減額がなされるという傾向はありません。
過去の事例として35歳の女性が事故にあったケースで骨密度が70歳程度であったという特殊なケースで減額されたケースがありますが、86歳や69歳の方が骨粗鬆症になっていたケースでは減額はされませんでした。
したがって骨粗鬆症であるからと言って当然に賠償額が減らされるということはありません。 - 会社の社長が交通事故で死亡をしたのですが、会社の損害を加害者に賠償請求できないでしょうか?
- 社長個人の役員報酬が損害賠償の対象となることは間違いありませんが(全部か一部かの問題はありますが)、更に会社の売り上げ減少等の損害まで賠償すべきかについては議論があります。
この点について過去の判例によれば「俗に言う個人会社であり・・・同人には会社の機関としての代替性がなく、経済的に同人と会社は一体をなす関係にある」場合に限って会社の損害も賠償の対象となると考えているようです。
その判断基準としては、出資比率や持株比率、代表者の業務内容、経営に関する実権の所在、会社財産と個人財産の混同の有無程度、株主総会の開催の有無などを総合的に判断して決めているようです。 - 私は、会社の代表取締役をしていますが、取引先に行く途中でタクシーに乗っているときに、後ろから自動車に追突されました。現在、休業中ですが、役員報酬を全額補償してもらえるのでしょうか?
- あなたが受け取っておられる役員報酬の中身が問題となります。
あなたが会社の株主ではなく雇われて社長を行っている場合には、役員報酬はあなたの労働の対価と思われますので役員報酬を全額補償してもらえる可能性が高いと思われます。
あなたが会社のオーナーの立場にある場合には、役員報酬が全額労働の対価と言えるのか、役員報酬の一部に利益配当の要素が含まれていないかが検討されることになります。
その際に、あなたの業務内容、会社の収益状況、従業員の給料額、類似会社の役員報酬の支給状況などが判断の材料となります。 - 私は専業主夫をしているのですが今回事故に遭いましたが休業補償はどうなりますか?
- 最近は、奥さんが会社の社長をしているなどの理由で男性が専業で家事をしているケースなど男性が専業主夫をしているケースがあります。
このような場合に事故に遭って家事ができなくなると、専業主婦の場合と同じように家事の休業損害を請求することができます。
なおこの場合、休業損害の基準になるのは男性ではなく女性の賃金センサスが使われることが多いので注意が必要です。 - 私(65歳、男性)は警備員として働いていましたが、交通事故による怪我の治療のため仕事を長期休業したので治癒前に解雇されてしまいました。怪我が治ってから再就職のために面接を7社受けましたが、いずれも採用されませんでした。どのような補償が受けられますか?
- 本来、怪我が治癒すれば後遺症が残存しない限りは、治癒後の逸失利益の補償を求めることはできません。
ただし本件のような高齢者の方が再就職を果たすのは一般的に困難であり、実際に面接を受けても採用されなかったということですから事故によって収入を失ったことになります。
裁判例では、このようなケースで被害者の事故前の給料をもとに67歳までの逸失利益の請求を認めたものがあります(名古屋地方裁判所・平成16年3月3日判決)。したがって保険会社と粘り強く交渉されることをお勧めします。 - 父が交通事故に遭って入院し退院しましたが前よりも記憶力が低下し性格も怒こりやすくなりましたが後遺症ではないでしょうか?
- 高次脳機能障害になられている可能性があります。
高次脳機能障害とは、交通事故等によって頭部を打撲し、脳の一部を損傷が発生することによって、脳の機能の一部である記憶、注意、情緒、言語等の認知機能が低下する症状です。
記憶力低下や、段取り良く仕事ができない、怒りっぽくなった等症状も軽いものから重篤なものまで幅広い症状がありえます。
病院で見過ごされることもありますので、専門の病院に一度診察を受けてみてはどうでしょうか。
なお脳卒中等が原因で高次脳機能障害になることもあります。
高次脳機能障害については詳しくは、交通事故の高次脳機能障害 - 車を運転中、赤信号待ちで停車していたところ、後ろから来た車に衝突され、1か月入院しました。保険会社と 交渉中ですが何が請求できますか?
- 治療費、入院雑費、休業補償(賞与減額を含む)、慰謝料が請求できます。更に医師の指示がある場合や重傷の場合には付き添い費用も認められます。
- 保険会社は慰謝料として1日4,200円しか認めないと言っていますが妥当でしょうか。
- 慰謝料1日4,200円というのは自賠責保険の基準であって、それにとらわれる事はありません。入通院に対する慰謝料は、入院期間及び通院期間に応じて計算されます。
過去の裁判例によると、入院1か月当り20~48万円程度、通院1か月当り10~24万円程度です(1週間に2日は通院した場合)。
- それでは治療費や通院交通費はどのような基準で認められるのですか。
- 治療費はそれが必要な治療であると認められれば全額です。
通院交通費も実費全額が原則ですが、タクシーを利用した場合には傷害の程度が軽い場合は公共交通機関の費用しか認められない場合もあります。 - 保険会社は入院雑費は、1日1,100円しか出さないと言っていますが妥当ですか。
- 入院1日につき、1,300円程度が妥当です。
- 休業補償はどのような基準で計算すればいいですか。
- 休業補償は、仕事を実際に休んだことによって収入が減った分(賞与減額を含む)について請求できます。
なお主婦の場合は、女子労働者の平均賃金を基準に計算します。 - 後遺症が残った場合はどんな補償がしてもらえますか。
- 後遺症を理由に補償を請求するには、原則として、その後遺症が自賠責保険に定められている等級(1級~14級)の基準に該当しなければなりません。
例えば顔面の傷跡などはある程度の大きさでなければ後遺症に該当しない場合があります。 - 後遺症の基準に該当した場合にはどのような補償が出るのですか。
- 一般的には逸失利益(後遺症が残ったことによって将来にわたって予想される減収)、後遺症慰謝料ですが、重い後遺症が残ったような場合には家屋改造費やリハビリ費用、付き添い費用等が認められるケースもあります。
- 逸失利益は、どのように算出されますか。
- 逸失利益は、被害者の年齢、性別、職業、収入、後遺症の部位・程度によって異なります。具体的には専門家に相談して下さい。
- 後遺症の慰謝料はどのように計算されますか。
- 慰謝料は主に後遺症の部位・程度によって決まります。
例えば1級(両目が失明した場合など)に該当するような場合には2,600~3,000万円程度になります。
これも具体的な金額は状況に応じて専門家に相談すべきでしょう。 - 私は後遺症12級の認定を受けましたが、保険会社から
提示された慰謝料金額は93万円でしたが妥当ですか。 - 過去の裁判例から考えると250~300万円程度の請求は可能ではないでしょうか。
- 夫が交通事故で寝たきりになってしまったのですが、妻の私には何か補償がありませんか。
- 寝たきりのように後遺症が重い場合には同居の親族であるあなたにも慰謝料が認められる場合があります。
- 今までの話を聞くと保険会社の提示金額は相当低いことになりますね。
- そうですね。やはり示談する前に専門家に相談されることが大切ではないでしょうか。
- 車を運転中に精神疾患(たとえば脳梗塞)を起こしたことにより交通事故を起こしてしまった場合に賠償責任を負うでしょうか?
- 一言で言うと運転中に精神疾患を起こすことが事前に予想できたかどうかが問題になります。
例えば運転中にてんかんに罹患して事故を起こした事件で裁判所は、以前にも同じような事故を起こしたこと、医師から抗てんかん薬の処方を受けていたが指示通りに飲んでいなかったこと等から過失があったとしています。
一方、過去にてんかんで意識喪失したのは10年以上前のことであり、医師の診断は受けたがてんかんと診断されていなかったことから過失はないとされた事例があります。
すなわち判例は1意識喪失の予見可能性2結果回避可能性があった場合のみ過失を認めているわけです。 - 主婦の方が事故にあった場合の休業損害はどうなるでしょうか?
- 主婦も家庭で仕事をしているわけですから、それができなくなった以上は休業損害を請求できます。
その場合の裁判所の基準ですが、名古屋では原則として賃金センサス(学歴計全年齢平均賃金)を基準にすることとなります。
例外的に年齢、家族構成、身体状況等から学歴計全年齢平均賃金に相当する労働ができないケースでは、学歴計年齢別平均賃金を参考にして適宜減額することになっています。
なお仕事をしている主婦の方が上記金額以上の収入を事故前まで得ていたのであれば、そちらが基準となります。 - 職場へ行く時の運転時の事故は労災が使えますか?
- 加害者に対する損害賠償請求ができることは当然として職場に行く途中でいつもの通勤路で交通事故に遭遇したのであれば通勤災害に該当しますので労災保険が使えます。
しかし、二重に補償を受けれるわけではありませんので労災から受け取った金額は原則として後に加害者に対する損害賠償請求を行う場合には控除しなければなりません。
また交通事故であるので自賠責保険も使用できますが、これも同じく補償が二重に受けられるわけではありません。ですから自賠責保険から受け取った金額は原則として後に加害者に対する損害賠償請求を行う場合には控除しなければなりません。
労災保険と自賠責保険のどちらを先に使うかですが、関係機関の間では原則として自賠責保険の請求をまず先行させますが、被害者が労災の請求を先行することを希望した場合にはそのように処置されるようです。
実際も自賠責保険の保険金の中には労災保険では出ない慰謝料なども含まれていること、内払いや仮渡金の制度もあるので自賠責保険を先行して使用される場合が多いようです。
なお自賠責保険は傷害分の保険金に120万円の上限があるので治療が長期化してこの枠を超える場合には、超える部分については労災保険の適用を申請することになります。 - ひき逃げや加害車両が無保険車の場合、補償は受けられないの?
- この場合でも以下のような自動車保険(例えば、人身傷害補償保険、搭乗者傷害保険、無保険車傷害保険など)による補償が受けられる可能性があります。
被害車両に付いている自動車保険・被害者またはその家族が加入している自動車保険・加害者またはその家族が加入している自動車保険。
万が一、これらの保険で補償されない場合でも、政府保障事業制度(自賠責の範囲内)による救済が受けられる場合があります。 - 交通事故の解決方法を教えてください。
- 交通事故の解決方法には、示談、調停、裁判、交通事故紛争センターなどがあります。詳しくは、交通事故の解決方法を教えてください。
- 保険会社からもう治療費を支払わないと言われた場合の対応は?
- 保険会社から治療の打ち切りを通告された場合でも、必ずしも通院を中止しなければならないという訳ではありません。
もっとも、主治医の意見を確認したうえで、保険会社との折衝は不可避の状況ですので、是非弁護士にご相談ください。詳しくは 示談交渉中の対応 - 後遺障害の認定に納得できない
- 自賠責保険の後遺障害認定に納得できない場合には、自賠責保険に異議を申し立てる方法と自賠責・共済紛争処理機構に調停を申し立てる方法があります。詳しくは、示談交渉中の対応
- 治療費は保険診療にした方がいいの?
- 交通事故でお怪我をされた方は、「自由診療」と「保険診療」を選択して治療を受けることができます。
保険診療は、治療費が原則3割負担であるため、治療費を抑えることができ、自賠責保険の限度額を有効活用できるというメリットがあります。
特に加害者が任意保険に加入していない場合、自賠責の範囲内でしか補償を受けられないので、保険診療の方が有利です。
また、過失割合が問題になる場合、自由診療では、負担分10割全額に対して過失相殺がされますが、保険診療では、負担分3割に対してのみ過失相殺がされます。
このため、賠償金が減額されにくいという点で保険診療の方が自由診療より有利です。
したがって、自由診療を利用しなければならない特別の事情がない限りは保険診療を利用した方が良いでしょう。 - 保険会社からの提示額が妥当なのかわからない
- 弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士に交渉を依頼すれば保険会社から提示される賠償金額からの増額の可能性があります!
なぜでしょうか?それは、交通事故の損害賠償金額を算定するための基準が保険会社と裁判所で異なるからです。
一般的には、保険会社の基準に比べ裁判所の基準は被害者保護の見地から高く設定されています。
そして、弁護士は裁判所基準に則って請求します(訴訟の場合はもちろん、示談交渉の場合も同様です)ので保険会社が提示した賠償金額よりも増額される可能性があるのです。
詳しくは、任意保険の提示金額には要注意 - 弁護士費用が心配です
- まずは自分の加入している自動車保険を調べてみて下さい。
弁護士費用特約に入っていませんか。
特約をつけていれば弁護士費用が通常300万円まで保険会社から出ますのでそれを越えなければご自分の負担はありません。
詳しくは、交通事故で弁護士費用特約
離婚
- 離婚問題(年金分割)のポイントはなんですか?
- 離婚する場合、相手方の年金について、年金分割の請求ができます。
年金をすでに受給している人も、これから受給することになる人も分割請求できます。
厚生年金(サラリーマン)と共済年金(公務員)が対象です。分割の割合は原則2分の1です。 - 別居期間中に妻が養育していた子供が夫によって連れ去られました。どのような手続きをすればよいですか?
- 方法としてまず考えられるのは、夫を相手方として子供の引き渡しの調停か審判を求めることです。
しかし調停や審判は結論が出るまでに相当の時間がかかるので、あわせて審判前の保全処分の申請をすることになります。
保全処分とは調停や審判で最終的な解決が出る前に暫定的に子供を仮に引き渡してもらうと言うことです。
これを認めてもらうためには妻方の言い分が正しいと言うことをある程度証明する証拠を出す必要があります。
次に考えられるのは人身保護請求という手続きです。
これは上記の手続きと違って刑事罰などを伴う強い効力がありますので上記手続きよりも認められる要件が厳しくなっています。
これが認められるケースとしては①夫が調停や審判又は当事者の合意に反して子供を連れ去った場合や②夫が子供を虐待するなど親権を濫用している場合などです。
また特異なケースですが、未婚の母から未認知の子の父及びその妻に対する人身保護請求が出された例があります。
したがって今回の件も事案によって保全処分か人身保護請求の申し立てをすることになります。 - いわゆるセックスレスは離婚原因となるでしょうか?
- この点、京都地裁昭和62年5月12日判決は、婚姻が、男女の精神的、肉体的結合であり、そこにおける性関係の重要性に鑑みれば、病気や老齢などの理由から性関係を重視しない当事者間の合意あるような特段の事情がないかぎり、婚姻後長年にわたり性交渉がないことは、原則として婚姻を継続し難い重大な事由に当たるというべきだとしています。
判例も、性的不能は、原則として婚姻を継続し難い重大な事由に該当すると判断しています。(最判昭和37年2月6日) - 夫が、行き先も告げず、今後の生活方針について相談することもなく、家を出ていき戻ってこない場合、妻はそのような夫と離婚できるでしょうか?
- そのような場合、夫の行為は悪意の遺棄にあたると思われるため、法律上定められた離婚原因になり、妻の離婚請求は認められると思います。
同様の事案で、裁判所は、妻を悪意で遺棄したものと判示して離婚を認めています(浦和地裁昭和60.11.29) - DV(ドメスティック・バイオレンス)とはなんですか?
- DV(ドメスティック・バイオレンス)は、夫婦間での暴力をいいます。肉体的な暴力をはじめ、精神的苦痛を与える場合や、性的関係を強要する場合、金銭的制限を必要以上に加える場合も含みます。
- 夫から暴力を振るわれて、怪我をしました
- この場合、あなたの身の安全の確保をしましょう。
子どもがいる場合には、子どもの身を守ることも必要です。
警察に相談したり、近くの行政機関や配偶者暴力相談支援センター等に相談しましょう。
シェルターや一時的に保護してくれる場所を探してくれます。
次に、夫があなたの居場所や子どもたちの居場所を突き止め、再び暴力を振るったりしないよう、保護命令の申立てをしましょう。
保護命令にはいくつか種類があり、状況に応じて、DV被害者への接近禁止命令、電話等の禁止命令、被害者の子どもや親族への接近禁止命令、DV被害者が居住していた住居からの退去命令などがあります。
また、保護命令の申立てや慰謝料の請求のために、DV被害に遭ったことを示す証拠を確保しておきましょう。病院で受傷の診察を受けて、診断書をもらいましょう。 - DV被害を理由に夫と離婚することを決意したら?
- DV被害を理由に夫と離婚することを決意した場合、離婚について夫と話し合う必要があります。
けれど、相手が暴力を振るう可能性があるため、冷静な話し合いは見込めない場合が多いでしょう。
あなた自身も被害者であり、自身の思いを夫にきちんと話すことがなかなか難しいと思います。
そこで、冷静に話を進められる第三者を介入させたうえで、夫に離婚の申入れをしましょう。
第三者は、あなたの身近な親族や友人などでもいいでしょう。
夫が冷静にあなたと話し合う気がなければ、弁護士があなたの代理人となって、あなたの代わりに夫と離婚に向けた話し合いを進めることもできます。 - 話し合いでの解決ができなかったら?
- もし、話し合いでの解決ができなければ、家庭裁判所に離婚調停を申立てます。
調停が不成立になれば、離婚訴訟を裁判所へ起こします。
夫との交渉の中で、夫に貴女の現在の居場所を知られないよう、最善の注意をします。
裁判所へ調停の申立てをする際には、住所を秘匿とする手続をとることができます。
また、裁判所で夫と鉢合わせしないように、調停の時間をずらすように裁判所にお願いをしたり、裁判の尋問においては、ついたてを置いてあなたから夫の姿が見えないように配慮してもらうようお願いをすることはできます。
あなたが夫から暴力を振るわれ、大変つらい思いをしたことについては、慰謝料を請求できます。
暴力の態様や程度によって慰謝料の相当額は様々ですので、より高い慰謝料を求めるためには事細かに夫から受けた暴力の内容を記録したり、怪我の部位を写真に撮っておくことが必要です。 - 夫が生活費をくれない場合は
- あなたが専業主婦で、家事を一生懸命に行っているにもかかわらず、夫が生活費をあなたに与えない場合、これはあなたに対する経済的DVといえます。
この場合、あなたは、夫に対して、生活費を求めることができます。
ただし、別居していない場合には、通常の婚姻費用の相当額を定める算定表を参考とすることができません。
同居していると、住居費は夫が負担しているといえるため、その部分を引いた額を参考に婚姻費用が決められることになるでしょう。 - 離婚後、元夫が子どもへの面会交流を求めてくるのですが断れませんか?
- 元夫のあなたへの暴力が原因で離婚に至ったとしても、元夫がお子さんへ暴力を振るう可能性があるとはいえない限り、元夫と子ども達との面会交流を妨げることはできません。
あなたは「元夫が突然逆上して子どもに暴力を振るうかもしれない」と不安に思うかもしれませんが、試行的に面会交流を行ってみるなど、元夫と子ども達との面会交流の様子を見守りながら、元夫が子ども達を傷つけることはしないことを確認していきましょう。 - モラハラスメントと離婚について教えて下さい。
- モラルハラスメント(モラハラ)とは、簡単にいうと、精神的な嫌がらせのことをいいます。
モラハラの加害者は、最初のうちは言葉以外の態度や行動で被害者の言動をそれとなく非難し、徐々に自分の思い通りに支配していきます。
そこで被害者が自分を取り戻そうと抵抗すると、いよいよ精神的な暴力をふるいはじめます。
この暴力は、中傷・無視・冷たいまなざし・罵倒などの精神的暴力であり、被害者に責任を押し付けるような巧妙なやり方で行われます。
例えば、「おまえが悪い」「何故できないんだ」などと怒鳴る、あざ笑う、無視する、ため息をつくなどの行為を繰り返し行うことによって、被害者を追い詰めていくのです。
私たち弁護士も、夫から妻にこのような嫌がらせが行われるケースにはたびたび出会い、離婚原因、すなわち「ことばのDV」として理解してきましたが、モラハラの被害は実はもっと広く、恋人間、親子間、職場でも起こることが分かってきました。 - モラハラは、どのような特徴があるのですか。
- まずモラハラは、マインドコントロールと似た性質があるために、被害者が自分が被害者であることに気づいていないケースが多いと言えます。
モラハラの被害者は、几帳面で、他者への配慮を働かせ、責任感が強い人が多いと言われており、加害者から日常的に嫌がらせを繰り返し受けることにより、「自分が悪い」「自分さえ我慢すればいい」などと思い込まされていることも多いようです。
このような場合、まず第三者が話しを聞いてあげて、まず自分がモラハラの被害者であることを気づかせることが必要になります。 - モラハラは、裁判で立証することが難しいと書いてありましたが、どういうことでしょうか。
- 例えば、DVの場合は診断書や写真で被害を比較的容易に立証できるのに対し、モラハラの場合はそのような形で立証することは困難です。
録音テープなどがあれば勿論いいですが、そのような証拠がない場合も、何月何日に、どのようなことを言われた、あるいはされた、そのときどんな気持ちだったか等を詳しくメモしていただければ、立証することができることもあります。
とにかく諦めずに、弁護士に相談してみるといいということですね。 - 離婚したいのですが、夫が離婚に応じてくれません。どうしたら離婚できますか?
- 協議離婚ができない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。
- 調停で話し合いをしても夫が離婚に応じない場合は、どうなるのですか?
- その場合は、離婚訴訟を提起せざるを得ません。
離婚訴訟の場合は、配偶者に不貞行為があったとき、生死が3年以上明らかでないときなど、法律が定める離婚原因(民法770条1項)がなければなりません。
実際よく問題になる事案としては、不貞行為(浮気)、家庭内暴力(DV)、度を超したギャンブル・借金、モラルハラスメントなどがあります。
いずれにしても、離婚原因があるかないかは、最終的には裁判所が判断することになります。 - 離婚に際しては、他にどのようなことが問題となるのですか?
- まず未成年の子どもさんがいる場合は、親権が問題となるケースが多いですね。
離婚自体には合意ができていても、子どもさんの親権を取り合って紛争になることがあります。
話し合いで解決がつかない場合は、最終的には裁判所が裁判で決定します。
場合によっては、どちらかの当事者が子どもを連れ去っていて、子どもの引き渡しを求めて仮処分などの手続きを取らなければならないこともあります。 - 親権以外には、どのようなことが問題となりますか?
- 財産分与、慰謝料が問題となりますね。
財産分与とは結婚期間中に夫婦の協力で築いた財産を清算してそれぞれに分けることです。
慰謝料請求とは、離婚の原因を作った当事者に対し、その配偶者が精神的苦痛に対する損害賠償を求めるものです。
また最近は、財産分与とは別に、年金分割が問題となることも多いですね。 - 離婚調停、離婚訴訟を依頼する場合、どの位の弁護士費用がかかるものなのでしょうか?
- うちの事務所では、離婚調停の場合、着手金として30万円、離婚が成立した場合の報酬金として30万円いただくことになっています。
離婚訴訟の場合は、着手金が40万円、報酬は30万円となっています。
ただいずれの場合も、財産的給付がある場合は、報酬としてその10%を加算していただくことになります。 - 私は専業主婦で、一度に数十万円を支払うことは難しいのですが・・。
- その場合には、収入が一定額以下であるという制限がありますが、法テラスを利用することも可能です。
この場合は法テラスがいったん弁護士費用を立て替えてくれます。
ご依頼者が負担する標準金額は、着手金が22万0500円、報酬金が8万4000円とされています。
ご依頼者は、月5000円から1万円の金額を法テラスに償還していただくことになります。また経済的に大変困窮されていると認められる場合は、償還を免除されることもあります。
いずれにしても、弁護士に相談して、早期にアドバイスを受けた方がいいと思います。 - 学歴詐称が原因で離婚できるか?
- 裁判上の離婚原因としては、①不貞行為②悪意の遺棄③3年以上の生死不明④強度の精神病で回復の見込なし⑤その他婚姻を継続しがたい重大な事由、と定められています(民法770条1項)。
学歴詐称の場合、⑤の婚姻を継続しがたい重大な事由に該当するか否かが問題となります。
性格や相性、容姿を重視して結婚するのであって、学歴で結婚するわけではないから⑤には該当せず、離婚原因にはならないと考えることができるかと思いますが、一方で、学歴を結婚の条件とすることもあるようですので、学歴詐称では離婚原因にならないと言い切ることも難しいと思います。
私見としては、通常夫婦が円満に生活するうえで学歴が重要だとは考えにくいので、学歴詐称だけでの離婚は難しいのではないかと考えますが、詐称の程度によっては離婚原因になる可能性も否定はできません。また学歴詐称から派生して収入等にも詐称があったような場合には、離婚原因となる可能性は高くなってくると考えます。 - 離婚後にDV夫から子の面会交流の申立がされたらどうなりでしょうか?
- DV夫と離婚し、離婚後にDV夫から子の面会交流の申立がされたらどうなりでしょうか?
まず、一般論として、最近の家庭裁判所の傾向としては、面会交流は原則的に実施する方向での考え方が主流です。
しかし、子の面会交流の原則的実施論については、最近反対意見が少なくありません。面会交流を実施することで子の虐待が明らかになったり、精神医学者が深刻な悪影響がある等の意見を述べたりしています。
法律専門誌でも原則的な実施に対する危険性や問題点を指摘する論文が増えています。
DV夫からの子の面会交流の申立についても裁判所が個別事情を考慮して却下する事例もあります(最近では仙台家裁平成27年8月7日審判)。
詳しくはこちらの記事「面会交流」 - いったん決めた養育費の金額は代えられるの?
- 離婚に際しては、親権者の指定、養育費の金額、面会交流について協議して決めないといけないとされています。
養育費は子どもの年齢にもよりますが、長期間の給付になりますので、養育費を支払う親が将来どのような事態になるかは予想できません。
離婚に際しては、離婚時の夫婦の収入により養育費の金額が決められます。
しかし、離婚後養育費を支払う親がリストラに会い決めた金額を支払えなくなったり、養育費を受け取る側の親が再婚したりして別に子どもを扶養してくれる人ができたりすることもあります。
そういう時は、養育費の減額を求めることになります。減額につき協議できなければ調停の申立をすることになります。
減額が決まるまでは、従来の金額の養育費を支払う義務があります。
反対に養育費を支払う親の収入が増えたりした場合は、養育費の増額を請求できる場合もあります。
いったん養育費を決めても、その後の事情の変更により、増減が可能です。
詳しくは「養育費」 - いったん親権者を決めた後、変更することはできるでしょうか?
- 親権者を変更することはできますが、父母2人の話し合いだけで変更することは認められていません。
父母が親権者の変更に同意していても、家庭裁判所に調停の申立をしなければなりません。
家庭裁判所は、子の福祉を考慮し、親権の変更が妥当でないと判断した場合は調停の成立を認めません。
父母の間で親権者変更の合意がない場合でも、親権者でない親の方から、親権変更の調停あるいは審判の申立をすることができます。
家庭裁判所は、子の福祉の観点から、親権の変更をする必要があるかどうかを判断します。
そして親権変更の場合、それまで子が親権者のもとで生活をしているという現状がありますので、そのような状況を変更してでも親権者を変更した方が子の福祉に適するといった特別な事情がない限り、親権変更の審判をすることはありません。
具体的には、親権者が子どもを虐待しているとか、親権者にネグレクトの事実が認められるとか、子どもの居住環境が劣悪であるなどの事情がなければ、親権変更が認められることは困難といえます。 - 私は親権を取れますか?どうしたら親権を取れますか?
- 絶対的な基準があるわけではありませんが、裁判所はこういった要素に着目しているというものはあります。
一般的には以下の要素をあげることが多いです。
①監護の継続性
現在どちらが監護をしているか、どれぐらいの期間監護をしているかということ。子の生活環境が安定していると、裁判所としてはなるべく現状を尊重したいという判断をすることが多いと思います。
②母性優先
特に乳幼児に関しては母性を優先するということです。母性=母親ではないので、必ずしも母親が優先するということではありません。母性的な役割を持つ監護者を優先させようという趣旨と考えれば良いと思います。
③子の意思
子自身がどちらの親と生活したいと思っているかということです。乳幼児に関しては考慮されない要素ですが、ある程度の意思表明ができるようになる10歳前後から考慮されるようになってきます。ちなみに、子が15歳以上の場合は必ず意見聴取しなければなりません。
④兄弟不分離
兄弟が離ればなれになることはなるべく回避しようという要請です。あまり重要な要素とは言えないと思います。
⑤面会交流に対する寛容性
離婚後の面会交流を認めるという態度があるか否かということです。
⑥親権者の適格性
監護能力の有無、過去の監護状況、有力な看護補助者の有無、子の発育状況や健康状態など、その他様々な事情が考慮されます。
①~⑥の要素を総合考慮して、裁判所はどちらが親権者に相応しいかを判断します。あくまで一般的な基準ですので、これさえ満たせば絶対親権を取れるというわけではありませんが、ひとつの参考にはなります。
最後に、どちらが親権者になるかどうかの最終的な判断基準は「子の福祉」と言われています。
要は、どちらが親権者になることが子どもにとって幸福かということです。
親の都合ではなく子どもの幸福が一番ということです。
上記①~⑥は「子の福祉」の有無や程度を判断するための要素といっても過言ではありません。
相続 遺言
- そもそも相続とはなんですか?
- 親族が亡くなった時はもちろん、自分が亡くなった時にも問題になってくるのが相続です。
その意味では誰しも避けて通れない法的問題といっていいでしょう。
相続は、亡くなった人の権利義務関係を丸ごと承継するということです。
基本的にはプラスの財産だけ相続するということは許されず、相続する以上、マイナスの財産も相続しなければならないことになっています。
相続がいつ開始されるかというと、被相続人が亡くなった時に開始します。
このように被相続人の死亡より相続が開始されますが、誰が相続人になるかは民法で決まっています。
配偶者は必ず相続人になりますが、それ以外の親族は以下の順序によって相続することになります。
第1順位 子
第2順位 直系尊属(親や祖父母)
第3順位 兄弟姉妹
第1順位の子がいれば、第2・第3順位の親族は相続できません。第1順位の子がいないとき(相続放棄も含む。)に、はじめて第2順位の直系尊属が相続することができます。そして、第1順位の子、第2順位の直系尊属がいずれもいないときに、ようやく第3順位の兄弟姉妹が相続することができる仕組みになっています。
ちなみに、配偶者は、必ず相続人になると言いましたが、
①配偶者と子が相続人の場合、配偶者1/2、子が1/2(頭数で割る)
②配偶者と直系尊属が相続人の場合、配偶者2/3、直系尊属1/3(頭数で割る)
③配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合、配偶者3/4、兄弟姉妹1/4(頭数で割る)
の相続割合になります。
生前苦楽を共にしてきた配偶者を優遇して、その生活保障をしようというが民法の考えです。
相続人だけど相続したくないという方もいらっしゃるので、相続の方法について説明いたします。
相続の方法は3種類あります。
①単純承認、②限定承認、③相続放棄の3つです。
①単純承認とは、被相続人(亡くなった人)のすべて権利と義務を承認することです。私たちが一般的にイメージする相続のことです。
②限定承認とは、相続人が相続するときに相続財産を責任の限度として相続することです。ちょっと分かりにくいかも知れませんが、簡単に言うと、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を返済していきますよ!ということです。もちろん、プラスの財産が余ったらそれを取得することができます。ただし、限定承認は相続人全員で申述しなければならないという決まりがありますので注意してください。
③相続放棄とは、言葉のとおり、被相続人のすべての権利と義務を放棄することですね。プラスもマイナスも一切相続しないようにしよう!というものです。
相続は権利であって、義務ではありませんので、限定的に承認したり、放棄したりすることができますが、被相続人が死亡したことを知った時から3か月を経過すると①単純承認したとみなされてしまいますので、②限定承認や③相続放棄をしたい方は、3か月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。 - 同居して世話をしていた親が亡くなった場合、世話をしていた子供は他の相続人より相続分が考慮されて多くなるのでしょうか?
- 民法904条の2では寄与分を定めた条文があり、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付をしたものや被相続人の療養看護などをしたものがいた場合に、そうした寄与を考慮する旨が定められています。
しかし、寄与分が認められるには「被相続人の財産の維持又は増加に特別に寄与した」ことが必要なので、単に親と同居して世話をしていたというだけでなく、相続人が療養看護をしたおかげで療養看護費用を出さずにすんで財産が維持できたなどの事情が必要となります。
したがって、直系の血族には扶養義務があることから直ちに寄与分は認められません。
認知症となり、常時見守りが必要になった後の期間について介護相当費用の寄与分を認める審判もありますが(大阪家審平成19・2・8家月60・9・110)、介護は難しい問題です。 - 遺言と遺産分割のポイントはなんですか?
- 遺産の分割は、遺族にとって大きな負担です。遺族の争いを防ぐため、また負担を軽くするには、遺言書を作成しておきましょう。
遺言は、公正証書遺言で作成しておくのが確実で安全です。また、遺言執行者を、指定しておくと良いでしょう。 - 遺言書にたとえば「平成26年1月吉日」という日付が書かれていたら、無効になるんですか?
- 遺言書にたとえば「平成26年1月吉日」という日付が書かれていたら、無効になるんですか?と聞かれました。その方は、テレビでそのようなことを見たらしいのです。
実はそうなんです。
日付を「吉日」としてしまうと、その遺言は無効になるんです。
最高裁(昭和54年5月31日判決)は、「昭和41年7月吉日」と記載された自筆証書遺言は無効である、としています。 - 相続問題を他の士業の方に依頼するのと弁護士に依頼する違いは?
-
弁護士は、法律全般の専門家です。
弁護士は、法律全般の専門家です。その点、税理士、司法書士、行政書士の方々とは根本的に違います。
弁護士は、相続問題について経験が豊富です。相続に関するトラブルについて多くの案件を経験しており、トラブルが生じないような遺言書の作成等のノウハウや、トラブルが発生した時の最善の対処の方法のノウハウも豊かです。
その他の士業はどんな仕事をする人なの?
税理士さんは、税金の申告が主な業務です。税務申告については、税理士さんに依頼されることをお勧めします。
しかし、税務申告以外の相続問題については、法律上、取り扱いができません。
司法書士さんは、法務局に商業登記、不動産登記の申請手続きをするのが主な業務です。140万円以下の民事事件を取り扱える司法書士(認定司法書士)さんも一部にはおられますが、相続問題は通常140万円以上になりますので、司法書士さんは、相続問題は法律上、取り扱いができません。
行政書士さんは、その名のとおり、行政機関に提出する書類の作成が業務であり、法律上民事問題は一切、取り扱いができません。
もし、税理士さん、司法書士さんや、行政書士さんが法律上、許されない業務をいたしますと刑事処罰の対象となります。
弁護士のところに相談に来られる方の中には、他の士業の方が扱っていたけど、どうにもならなくなってから相談に来られる人が結構いらっしゃいます。
しかし、そのときは、すでに紛争がこじれすぎて、事件の解決に時間がかかるようになっていることがあります。
やはり、できるだけ早く弁護士に相談していただくのが一番です。 - 子供の中の一人の素行が良くないので同人を相続人から除外したいのですが、そのようなことは可能ですか?
- 可能です。そのような場合には遺言書にその子供を相続人から廃除する旨を記載しその理由も明記しておくべきです。また生前に家庭裁判所の許可を得て相続人から廃除することも可能です。
- 子供には遺留分があると間きましたが、遺留分とは何ですか?
- 遺言者は遺産の分配を自由に決定できるのが原則ですが、一定の法定相続人(子供、妻など)には、法定相続分の一部を保障しなければなりません。これが遺留分です。 例えば遺言書で長男が全財産を取得することになった場合、外の兄弟は長男に対して遺留分を主張できるのです。
- 遺留分を主張できる人は誰ですか?
- 妻は常に遺留分を主張できます。また遺言者に直系卑属(子供、孫など)がいる場合には直系卑属、直系卑属がいない場合には遺言者の直系尊属(父母、祖父母など)が遺留分権利者です。 なお兄弟姉妹には遺留分はありません。
- 遺留分の割合はどのくらいですか?
- 相続人が妻と直系卑属の場合にはそれぞれの法定相続分の二分の一です。相続人が直系尊属のみの場合にはそれぞれの法定相続分の三分の一です。
- 遺留分の金額はどのように計算するのですか?
- 原則としては死亡の際の遺言者の資産から遺言者の負債を差し引いた金額に遺言者が生前に贈与していた金額(原則として死亡一年前までのもの)を加算した金額を基準とします。
- 遺留分の請求の時効はありますか?
- 民法によれば遺言者の死亡後、自己の遺留分を侵害されたことを知った時から一年以内に遺留分の請求を行わなければなりません。
- 遺留分請求の方法はどうすればよいでしょうか?
- 口頭での請求も可能ですが、通常は証拠を残すために内容証明郵便による方法が安全でしょう。
- 遺留分は放棄できますか?
- はい。放棄する場合には特に意思表明は不要です。
遺留分を請求しなければ前述のように一年の経過で遺留分請求権は消滅します。
また遺言者の生前に家庭裁判所の許可を得て遺留分を放棄することも可能です。
刑事事件
- 刑事事件のポイントはなんですか?
- 逮捕された事実を知ったら、直ちに弁護士に面会に行ってもらうこと
警察で罪名をいわれるので、やっていないならば断固として「やっていない」と言い切ること
最後まで否認し続けること - 死刑の確定判決を受けた死刑囚が亡くなった場合は、もう再審請求をすることはできなくなるのか?
- 刑事裁判における再審請求権者
ある方から、質問を受けました。
死刑の確定判決を受けた死刑囚が亡くなった場合は、もう再審請求をすることはできなくなるのか。
できる。
具体的には、亡くなった死刑囚の配偶者、直系の親族、兄弟姉妹は再審請求をすることができる。
【刑事訴訟法439条1項】
再審の請求は、左の者がこれをすることができる。
(4号)有罪の言渡を受けた者が死亡し、又は心神喪失の状態に在る場合には、その配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹 - 飲酒検知を拒否してその場から立ち去ったが罪になるのか?
- (道路交通法第67条3項)
車両等に乗車し、又は乗車しようとしている者が第六十五条第一項の規定に違反して車両等を運転するおそれがあると認められるときは、警察官は、次項の規定による措置に関し、その者が身体に保有しているアルコールの程度について調査するため、政令で定めるところにより、その者の呼気の検査をすることができる。
(道路交通法第118条の2)
第六十七条(危険防止の措置)第三項の規定による警察官の検査を拒み、又は妨げた者は、三月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
ということで、飲酒検知を拒否すると飲酒検知拒否罪になります。
家族信託
- 高齢者の財産管理のポイントはなんですか?
- 財産管理委託契約・任意後見契約・法定後見の3種類あります。
録法定後見以外は、高齢者の意思で契約し財産管理をまかせるものです。
法定後見は、裁判所が選任した後見人に財産管理をしてもらう制度です。 - 葬儀信託とは?
- 葬儀信託が増加。
死亡によって銀行口座が凍結されて葬儀費用がすぐに準備できない、
遺族の精神的金銭的負担が増えて遺産分割トラブルに発展するリスクがある、身寄りがない場合、周囲の人物に迷惑がかかる等のトラブルを回避し、自分が希望する葬儀が実行できます。 - 詐欺被害から高齢者を守るために信託は有効ですか?
- 特殊詐欺から財産を守る
特殊詐欺の被害額は、平成28年で482億円となっています。
特殊詐欺とは、「オレオレ詐欺」や「還付金等詐欺」などをいい、65歳以上の高齢者の被害割合が極めて高いです。
高齢者が預貯金などを詐取されると、被害回復はほとんど不可能であり、老後の生活が成り立たなくなる可能性があります。
そこで、財産管理を可能とする信託制度により、高齢者の財産を保護することが有用です。
信託により、高齢者が委託者兼受益者となって、高齢者の財産の処分権限を受託者に託し、財産を保護するのです。
また、高齢者自身の財産管理の負担軽減にも繋がります。
消費者問題
- クーリングオフのポイントはなんですか?
- 勧誘によって購入した商品などについて、クーリングオフによって契約を解消することができます。
クーリングオフの期間(8日間など)を過ぎても、契約書の不備などがあれば、期間の制限を受けません。 - 消費者被害のポイントはなんですか?
- ほとんどの商品・サービスがクリーングオフの対象になりました。
消費者から契約しないと告げられた時には、業者はそれ以上の勧誘を行うことは禁止されます。
商品・サービスを過剰に売りつけられた場合には、1年以内であれば代金を返してもらえます。
会社経営
- 過払金返還請求のポイントはなんですか?
- 利息の高い(100万円未満の借入れで年利18%を超えるもの)金融業者(サラ金、クレジット等)からお金を借りていませんか?過去に借りていませんでしたか?
長期間返済を続けていた場合、過払金を取り戻せる可能性があります。
すでに完済した場合でも、破産手続をされた方でも、過払金を取り戻せる場合があります。 - 会社再生のポイントはなんですか?
- 借入金等の負債を大幅にカットして会社を再生する手続きがあります。
社長・役員・株主の交替は必要ありません。
資金繰りに行きづまる前に相談することが成功の秘訣です。 - 残業代請求のポイントはなんですか?
- 勤務先(元勤務先)への残業代(時間外労働)は過去2年間分請求できます。
残業には割増賃金(25%以上)の支払が義務づけられています。
労働審判という早期に解決する手続きがあります。 - モラハラ(モラルハラスメント)問題のポイントはなんですか?
- DVの場合は診断書や写真で被害を比較的容易に立証できるのに対し、モラハラの場合はそのような形で立証することは困難です。
録音テープなどがあれば勿論いいですが、そのような証拠がない場合も、何月何日に、どのようなことを言われた、あるいはされた、そのときどんな気持ちだったか等を詳しくメモしていただければ、立証することができることもあります。 - 私には現在多額の負債があるのですが、最近給料が減額となり毎月の返済が困難となりました。法的に何か良い方法はないでしょうか。
- 債務を整理する方法としては、
1.任意整理
2.破産
3.個人再生
の3つの方法があります。
任意整理
- 任意整理というのはどんな方法ですか。
- 現在の返済条件を、債権者との交渉によって、債務者の返済可能な条件に変更するための手続です。
- この手続を利用するメリットは何でしょうか。
- メリットはいくつかありますが、まず、利息を借入の日から遡って、利息制限法に定められた利率(例えば、借入額が10万円以上100万円未満の場合は18%)に再計算できることです。
例えば、A金融会社から平成11年10月1日に年29%の利息で30万円を借り、平成13年9月までの2年間に毎月1万円を返済してきたとした場合、約定利息ならば負債残高は211,567円となりますが、利息18%で再計算した場合、残高は142,317円となります。
- 返済条件として今後の支払利息はカットしてもらえないでしょうか。
- そのようにしてもらえる場合も多くあります。
- どの程度の期間内に返済すれば良いでしょうか。
- 分割が長期になると債権者の同意が得られないことが多く、3年以内に返済が可能であるかが、一つの目安となります。
- 交渉はどのような手続きで行うのでしょうか。
- 弁護士に依頼するほかにも簡易裁判所の特定調停という制度を利用することもできます。
破産
- 私の現在の収入では3年間で全額返済するのは困難です。どうすればよいでしょうか。
- とすると、破産・免責の申し立てをしてみてはいかがでしょうか。
- 破産とはどのような制度でしょうか。
- 負債を継続して返済していくことが困難な状況にある債務者について認められる制度です。
破産には、大別して、同時廃止と管財破産があります。
債務者に、資産がある場合には、裁判所の選任する管財人がそれを処分換価し債権者に配当する手続が必要となります(この場合、予納金が別途必要となります)。
- 免責とはどのような制度ですか。
- 破産宣告がでただけでは肝心の負債は残ったままなので、返済を免除してもらうための制度です。
- どのような場合に免責が認められるのですか。
- 誰もが免責を認めてもらえるわけではなく、浪費や人を騙してお金を借りた場合などには免責が不許可となる場合があります。
個人再生
- 私には私所有の自宅があるのですが、家族のためにも自宅だけは手放したくありません。
なんとかならないのでしょうか。 - そうですね。ある程度の返済が可能であれば個人再生手続を検討されてはどうでしょうか。
- 個人再生手続きとはどのような制度ですか。
- この制度は、再生債権総額(債権総額から、住宅などによって担保された債権額を控除した金額です)の一部を原則3年間で返済すれば、その余の返済は免除されるというものです。
個人再生手続には、小規模個人再生と給与所得者等再生があります。
- 小規模個人再生とは、どのような手続きですか。
- 1.債権の額が住宅などによって担保されている分を除いて3000万円以下であり、2.将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがある場合に利用することができます。
この手続では、再生債権の5分の1以上(但し、最低限100万円以上、最高限300万円以下という制限があります)を原則3年で返済すれば
、その余の返済は免責されます。もっとも、返済計画につき一定の債権者から異議が出ないことが必要です。 - 給与所得者等再生とはどのような手続きですか。
- 小規模個人再生の1.の要件の外に、2.給与またはこれに類する定期的な収入を得る見込みがあることが必要となります。
この制度の場合、小規模個人再生の返済条件に加え、可処分所得(年間の収入から生活に必要な額を控除した金額)の2年分以上の金額の返済という条件が加わります。また、債権者の同意は不要となります。
- 住宅ローンの月々の支払いを何とか軽くできないでしょうか。
- 住宅ローン融資を受ける場合、通常、住宅に抵当権が設定されますが、再生手続では抵当権等の担保権を有する者には別除権が与えられ、手続開始後も原則として自由に担保権を実行することができることとされているので、再生債務者は、住宅に設定された抵当権の実行を回避することができず、住宅を手放さなければならなくなります。
そこで「住宅資金貸付債権に関する特則」が新設され、住宅ローンを抱えて経済的破綻に瀕した個人債務者が、できる限り住宅を手放さないで再生を図ることができるようにするため、再生計画において、住宅ローン債権の弁済繰延(リスケジュール)等を内容とする住宅資金特別条項を定めることができるようになりました。
- どのような手続きをとるべきかの判断はどうしたらよいでしょうか。
- あなたの負債、収支、資産状況等を詳細に検討し、いずれの手続が最適であるかを判断していく必要があります。債務整理手続をとることを躊躇される方もいますが、法律で国民に与えられた当然の権利ですから、返済に困られた場合には、できる限り早期に弁護士等の専門家に相談されることをおすすめします。
過払い金返還請求
- 消費者金融から借金をして長年支払いを続けてきた友人が、弁護士さんに依頼したところ、借金がチャラになった上、逆に消費者金融から数十万のお金を取り返してもらったと喜んでいましたが、本当にそんなことがあるのでしょうか?
- 友人の方がおっしゃっているのは、「過払い金(かばらいきん)返還請求」のことだと思います。
最近過払い金返還請求により、消費者金融、クレジット会社等の貸金業者から、金銭の返還を受けられるケースが増えています。 - 「過払い金」とは、はじめて聞く言葉なのですが?
- 過払い金とは、簡単にいえば、債務者が貸金業者に払い過ぎたお金ということです。
- なぜ、過払い金が発生するのですか?
- それは、「利息制限法」の定める制限利率と「出資法」の定める制限利率の間に存在する「グレーゾーン金利」が原因です。
すなわち「利息制限法」は、貸金に関する利率の制限について、次のように定めています。
1.10万円未満 →年20%
2.10万円以上100万円未満 →年18%
3.100万円以上 →年15%しかし、利息制限法には罰則規定がありません。
一方で、「出資法」は、年29.2%を超える利息で貸付をおこなった場合、刑事罰の対象となると定めています。そこで貸金業者のほとんどは、出資法の上限利率である年29.2%すれすれで貸付をおこなっています。そのため利息制限法で計算しなおすと、本来であれば支払う義務のないお金が発生することになるのです。
- どのくらいの期間支払いを続けていれば、過払い金が発生するのですか?
- 過払い金が発生するかどうかはケースバイケースで一概に何年以上取引があれば過払い金が発生するとはいえませんが、一般的には5年以上の取引があれば過払い金が発生している可能性があり、7年以上であれば過払い金が発生している可能性が相当高いといえるでしょう。
- 過払い金が発生しているとして、貸金業者は、既に受け取った過払い金を返してくれるのでしょうか?
- 貸金業者は、返還を拒むことはできません。
貸金業規制法には、一定の要件を充たす場合には、いわゆる「みなし利息」として利息制限法を超える利息を取ることを認める規定があります。従来、貸金業者は、このみなし利息を主張し、過払い金の支払いを拒否してきました。しかし、平成16年2月最高裁がみなし利息の成立要件を非常に厳しく解釈する判断を示し、この要件を充たす業者がほとんど存在しないことが明確になったことから、貸金業者はもはや過払い金請求を拒否することができないことになったのです。このような背景から、ここ数年、過払い金返還請求が急増しているのです。 - 過払い金の返還請求は、自分ですることができますか?
- 過払い金返還請求を債務者自身でおこなうことは可能です。
ただ実際には債務者自身が貸金業者に過払い金の返還を求めても、貸金業者が開示を拒否したり、返還を拒否したりすることが多いのが実状です。
そうなると民事訴訟を提起せざるを得ないことになりますが、訴訟は専門的な知識が必要なため、債務者自身がおこなうことは困難です。
また最近では、資格がないにもかかわらず、過払い金請求の示談交渉、訴訟等のアドバイスをおこない、法外な報酬を持っていくという事件屋もおります(過払い金の半分以上を持っていくケースも多いようです)。
やはり弁護士にきちんと依頼をされた方が無難だと思います。 - 私の友人が、10年以上消費者金融に支払いを続けた後、数年前ついに支払いに行き詰まり、破産したのですが、破産手続を取った後に過払い請求することはできますか?
- 破産された方でも、過払い請求をすることができます。
実際破産後数年してから過払い請求をして、数百万円の過払い返還ができたケースもあります。具体的には、破産関係書類をお持ちになって、弁護士に相談してみてください。 - 貸金業者に対し金銭の請求をするというのはちょっと不思議な気がしていたのですが、これは消費者の権利ということですね?
- そうです。法律が認めている権利ですから、全く遠慮する必要はありません。心当たりのある方は、是非、弁護士に相談してみてください。
土地・建物
- 住宅ローン再生のポイントはなんですか?
- 住宅ローンがある場合、住宅を手放すことなく他の負債を整理(大幅カット)する手続きがあります。
破産と異なり、資格制限や免責(債務免除)について制限がありません。
サラリーマン、公務員など定期的な安定した収入が見込めることが必要です。 - 借家の明渡のポイントはなんですか?
- 借家の立ち退きを求められても、当然に出る義務はありません。
契約書に立退料を請求しないと書いてあっても、請求できる場合があります。
借家を出る場合に、貸主の要求するままに、原状回復の費用を支払う必要はありません。
その他
- 医療過誤のポイントはなんですか?
- 記憶が薄れないうちに、できるだけ早くそれまでの症状等の経緯を記録する。
弁護士に相談する前に、医師の責任追及をしない。
死因に疑問があれば、必ず解剖する。