DV被害の2大ケース「夫から暴力を振るわれてケガをした」「生活費をくれない」

この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

DVとは

DV(ドメスティック・バイオレンス)は、夫婦間での暴力をいいます。肉体的な暴力をはじめ、精神的苦痛を与える場合や、性的関係を強要する場合、金銭的制限を必要以上に加える場合も含みます。

Q DV被害に遭ったらどうすればいいの?
A DV被害には様々な態様があります。

ケース1 「夫から暴力を振るわれて、怪我をした。」

この場合、あなたの身の安全の確保をしましょう。

子どもがいる場合には、子どもの身を守ることも必要です。
警察に相談したり、近くの行政機関や配偶者暴力相談支援センター等に相談しましょう。
シェルターや一時的に保護してくれる場所を探してくれます。

次に、夫があなたの居場所や子どもたちの居場所を突き止め、再び暴力を振るったりしないよう、保護命令の申立てをしましょう。

保護命令にはいくつか種類があり、状況に応じて、DV被害者への接近禁止命令、電話等の禁止命令、被害者の子どもや親族への接近禁止命令、DV被害者が居住していた住居からの退去命令などがあります。

また、保護命令の申立てや慰謝料の請求のために、DV被害に遭ったことを示す証拠を確保しておきましょう。病院で受傷の診察を受けて、診断書をもらいましょう。

DV被害を理由に夫と離婚することを決意した場合

DV被害を理由に夫と離婚することを決意した場合、離婚について夫と話し合う必要があります。

けれど、相手が暴力を振るう可能性があるため、冷静な話し合いは見込めない場合が多いでしょう。
あなた自身も被害者であり、自身の思いを夫にきちんと話すことがなかなか難しいと思います。

そこで、冷静に話を進められる第三者を介入させたうえで、夫に離婚の申入れをしましょう。
第三者は、あなたの身近な親族や友人などでもいいでしょう。

夫が冷静にあなたと話し合う気がなければ、弁護士があなたの代理人となって、あなたの代わりに夫と離婚に向けた話し合いを進めることもできます。

話し合いでの解決ができなければ

もし、話し合いでの解決ができなければ、家庭裁判所に離婚調停を申立てます。
調停が不成立になれば、離婚訴訟を裁判所へ起こします。

夫との交渉の中で、夫に貴女の現在の居場所を知られないよう、最善の注意をします。
裁判所へ調停の申立てをする際には、住所を秘匿とする手続をとることができます。

また、裁判所で夫と鉢合わせしないように、調停の時間をずらすように裁判所にお願いをしたり、裁判の尋問においては、ついたてを置いてあなたから夫の姿が見えないように配慮してもらうようお願いをすることはできます。

あなたが夫から暴力を振るわれ、大変つらい思いをしたことについては、慰謝料を請求できます。
暴力の態様や程度によって慰謝料の相当額は様々ですので、より高い慰謝料を求めるためには事細かに夫から受けた暴力の内容を記録したり、怪我の部位を写真に撮っておくことが必要です。

ケース2 「夫が生活費をくれない。」

あなたが専業主婦で、家事を一生懸命に行っているにもかかわらず、夫が生活費をあなたに与えない場合、これはあなたに対する経済的DVといえます。

この場合、あなたは、夫に対して、生活費を求めることができます。
ただし、別居していない場合には、通常の婚姻費用の相当額を定める算定表を参考とすることができません。
同居していると、住居費は夫が負担しているといえるため、その部分を引いた額を参考に婚姻費用が決められることになるでしょう。

なかなか前へ進めない・・

DV被害に遭っているにもかかわらず、なかなか別居や離婚の決意が固まらない方もいらっしゃるでしょう。

「離婚した方が良いとは思うけれど、経済状況や子どものことを考えるとなかなか踏み切れない。」など悩まれている方もいらっしゃるでしょう。

ただし、暴力を振るわれればあなた自身も傷つきますし、身の回りのあなたの大切な人も傷つきます。決して無理はしないで、まずは、第三者に相談しましょう。そこであなたが不安に思っていることを正直に打ち明けてみてください。少しでも気持ちが楽になれば、前向きな気持ちになれると思います。

離婚後、元夫が子どもへの面会交流を求めてくるのですが断れませんか?

元夫のあなたへの暴力が原因で離婚に至ったとしても、元夫がお子さんへ暴力を振るう可能性があるとはいえない限り、元夫と子ども達との面会交流を妨げることはできません。

あなたは「元夫が突然逆上して子どもに暴力を振るうかもしれない」と不安に思うかもしれませんが、試行的に面会交流を行ってみるなど、元夫と子ども達との面会交流の様子を見守りながら、元夫が子ども達を傷つけることはしないことを確認していきましょう。


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