誰にも遺言の内容を知られたくない人は、「秘密証書遺言」を利用して

この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

遺言の方法にはいくつかありますが、そのほとんどが「自筆証書遺言」か「公正証書遺言」です。その他に「秘密証書遺言」というのもありますが、私自身はこれまで扱ったことがありません。

この秘密証書遺言というのは、公証人に遺言の「存在」だけを証明して貰う遺言です。ざっくり言うと、「予め遺言内容を記した書面が入っている封書」を用意しておき、遺言者が公証人に「この封書には遺言が入っています」と述べてそれを証明してもらうのです。そのため、公証人に対して遺言の中身について話す必要がありません。

この秘密証書遺言だと、少なくとも他人が遺言を偽造したのではないかという争いは防止できます。しかし、本当にそこに書かれている内容が遺言者の意思に基づいているのか(具体的な遺言意思の有無)、遺言能力があったのか(遺言能力の有無)、までのことは公証人によっては担保されません。

そのため、やはり公正証書遺言を作った方が安全なので、同じ公証役場を利用するのであれば、秘密証書遺言を利用するメリットはほとんどないはずです。

しかし、先日、公証人の方と雑談する機会があったのですが、公証人によると、この「秘密証書遺言」はある一部の方にはとてもよく利用されているとのことでした。それは、在日韓国人や在日朝鮮人の方というのです。こうした方達は、身内や本当に親しい知人以外の人に、遺言内容を知られるのをとても嫌がるそうで、公証人も例外ではないということでした。つまり、公証人であっても信用されていない訳です。

まあ、いろいろな人がいるわけですが、誰にも遺言の内容を知られたくないという人は、この秘密証書遺言というのを利用するわけですね。どうしてもという要望があれば、この秘密証書遺言の作成もお手伝いできます。


この記事を書いたのは:
旭合同法律事務所(名古屋)