DV保護命令

この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

Q 夫から暴力を受けているのですが、何か対応策はありませんか?
A DVは、離婚の理由や慰謝料を請求できる理由になりえますが、そのほかに、いわゆるDV防止法に基づく保護命令の手続があります。
Q 保護命令の手続とは、どういうものですか?
A 保護命令の手続とは、簡単にいうと、配偶者からの暴力を防止し、被害者を保護するための手続です。
Q 保護命令って、どういうものですか?
A ①被害者の身辺につきまとったり、通常所在する場所の付近をはいかいしたりすることを禁止する接近禁止命令、②面会の要求・無言電話などを禁止する電話等禁止命令、③被害者と同居している子どもの身辺につきまとったり、子どもが通常所在する付近をはいかいしたりすることを禁止する被害者の子への接近禁止命令などを発令してもらいます。また、④被害者が自宅に残してきた自己の所有物を引き取りに行く必要がある場合に退去命令を発令してもらうこともあります。
Q 私の場合にもその保護命令の手続をとってもらえますか?
A 保護命令の要件として、実質的な要件としては、①申立人が被害者(配偶者から暴力を受けた配偶者や元配偶者)であること②配偶者から身体に対する暴力または生命または身体に対し害を加える旨を告知して脅迫を受けたこと③更なる配偶者からの暴力により身体又は生命に重大な危害を受けるおそれが大きいことが必要です。
また、形式的な要件として、配偶者暴力相談支援センターまたは警察の職員に相談したり援助もしくは保護を求めた事実も必要になります。それらの要件を満たしていれば、保護命令の申立ができます。
Q 私は、配偶者暴力相談支援センターや警察にはまだ相談してないので、相談する必要があるんですね。実際に扱った事案としてはどういうものがありましたか?
A 夫から何度も暴力を受けて、自宅から子供を連れて避難したという方の事件がありました。
Q その事案はどうなったのですか?
A その方には、配偶者暴力支援センターに相談してもらった上で、写真や診断書といった証拠をつけて、接近禁止、電話等禁止、退去命令を求めて申立てをしました。
相手方である夫にも弁護士がつきましたが、子ども達を含めた接近禁止、電話等禁止の命令が発令されました。
退去命令については、夫の不利益が甚大であるということで、他の手段で荷物等を引き取ることになり取り下げましたが、実際弁護士間で調整をして荷物等を引き取ることができ、目的は達成できました。
また、相談を受けたとき依頼者と子供たちは親族の家に避難していたのですが、配偶者暴力支援センターの協力でDVシェルターにも入ることができました。
Q そうなんですね?
A ちなみに、保護命令が出ると、裁判所から警察にも保護命令発令についての通知が行きます。
実際、その件でも保護命令が発令された後、県警本部に連絡がいき、警察官からも私に現状確認等の連絡がありました。
その後、離婚等の調停も行われたのですが、無事解決に至りました。
Q よかったですね。しかも、警察に連絡がいくのは安心です。
A DVの場合には、配偶者暴力支援センターなどとも協力する必要がありますが、早急に法的措置をとることが必要になる場合もありますので、まずは弁護士に相談してもらうことが大事です。

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旭合同法律事務所(名古屋)