遺言書について

この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

Q 遺言書を作りたいのですが、自筆証書遺言と公正証書遺言とは何ですか。また作るにはどうすればよいでしょうか?
まず遺言書を作成したいのですが、遺言書にはどのような種類がありますか?
A 我々が身近に接する遺言書としては、自筆証書遺言、公正証書遺言でしょう。
自筆証書遺言というのは、遺言者が自分で遺言の全文と日付と氏名を書き押印するものです。
公正証書遺言というのは、違言者が公証人役場に証人二名と出向いて公証人に作成していただくものです。
Q 自筆証書遺言のメリットとデメリットは何でしょうか?
A メリットは遺言内容を遺言者しか知らないということ、費用がかからないということでしょう。
デメリットとしては、法律で決められた要件を満たしていないと無効になること(訂正の方法も厳格に定められています)、遺言者の死亡後に遺族から遺言書 の有効性を争われる余地があること(遺言書が隠されたり、紛失して実現されない危険性がある)でしよう。
Q 公正証書遺言のメリットとデメリットは何でしょうか?
A メリットは公証人役場に遺言書の原本が保管され紛失や変造の危険性がないこと、公証人という法律の専門家が関与することから法的に確実性の高い遺言書が作成できるということでしょう。
また証人ニ名が立ち会うことから後日裁判で争われる可能性も自筆証書遺言に比較して少ないと思います。
デメリットとしては公証人の費用がかかることでしょう。
これは遺産の額に応じて変わってきます。例えば遺産が1000万円の場合の公証人の手数科は3万円以上です。
Q 遺言が無効ではないかという相談はよくありますか?
A はい。相談で多いのは自筆証書遺言では遺言者の筆跡ではないというものです。また遺言作成時には遺言者は認知症にかかっていて正常な状態ではなかったというものも多いですね。
Q 自筆証書遺言の筆跡が問題になったケースではやはり筆跡鑑定をするのでしょうね。
A 私は原告側で、第2遺言の有効を前提に第1遺言でなされた登記の抹消を求める裁判をしたことがあります。
私が扱ったケースでは筆跡鑑定を裁判所でやってもらったところ本人の筆跡であるという鑑定結果が出ました。ただ筆跡鑑定は、鑑定人によって逆の結論が出ることもあるので鑑定結果だけでなく、その結果に至った理由も重要ではないかと思います。
Q 公正証書のよる遺言と自筆証書による遺言がありますが、どちらを勧めていますか?
A 作成に手間と費用はかかりますが私はやはり公正証書遺言を勧めています。
それは裁判例などを調べてみても公正証書遺言が無効になるケースはほとんどないからです。
やはり第三者である公証人が立ち会っているということで裁判官は無効にしにくいのではないかという気がします。
なお手間としては遺言者の他に2人の証人が必要ですが、証人2人については当事務所では、担当の弁護士と事務員が証人になるので証人をご用意いただく必要はありません。
Q 適当な証人が見つからないのですがどうすればよいでしようか?
A 知り合いの弁護士に相談してみてはどうでしょうか。
遺言の文案の作成を弁護士に依頼すれば弁護士本人と弁護士事務所の事務員等が証人になってくれる場合が多いと思います。
弁護士には秘密を守る義務がありますので遺言の内容が漏れることはありません。
Q 弁護士に遺言の作成を委託すると費用はどのくらいかかりますか?
A 基本は10万5000円です。出張が必要だと出張費(3万円程度)をお願いしています。
それ以外に公証人の費用が別に必要です。費用は日本公証人連合会ホームページを見ていただくと出ております。
Q 遺言書を作りたいのですが病気のため自分の名前が書けません。どうしたらよいでしょうか?
A 自筆証書遺言は自筆でなければ作成できませんが、公正証書遺言であれば公証人があなたの意思が間違いないことが確認できれば署名は免除できます。
Q 母が遣言書を作りたいと言っているのですが重い病気のため病院から出られませんが公正証書遺言は作成できますか?
A はい。公正証書遺言を作成するのであれば公証人が公証人役場から出張して遺言書を作成してくれます。
Q よく聞く遺言執行者とは何ですか?
A 遺言書を作っても、それが実現させなければ意味がありません。
遺言を実現するのが、遺言執行者です。法律の専門家である弁護士を遺言で、遺言執行者と定めておけば、確実にその弁護士が遺言を実現してくれます。

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