自筆遺言の法務局保管の注意点
この記事を書いたのは:松波克英
市販の書式の中には不向きなものも
自筆証書遺言の法務局保管の申請手続をしました。令和2年7月1日から開始された制度でしたが、初めて利用しました。
通常は、公証役場で遺言書を作成しており、自筆証書の遺言の作成に関与をすることは殆どありません。
自筆遺言の保管に関与した際に感じたことですが、市販の遺言書の書式などは、法務局の遺言書保管制度の利用には不向きな場合があります。
2㎝の余白が必要
法務局では遺言書をスキャンしてデータ化して保存し、証明書を作成する準備をしますが、A4の紙を縦にして左に2㎝のスペースが要ります。しかし、遺言書式の中には、印刷されている枠の通りに書いてしまうと、1㎝しかスペースが取れないものもあって、保管の際に支障があるものもあります。その書式の注意書には2㎝空けて書くように指示が書いてありましたが、よく読まずに、枠の通り書いてしまうと、書き直しが必要になります。
「複写」が浮き出ない用紙を
もう一点、市販の書式では、コピー予防のために、コピーすると「複写」と出るものもあります。これはスキャンでも「複写」が浮き出てくる場合があるので、遺言書の文字と重なると読みにくくなってしまいます。法務局の証明書には不向きです。
弁護士に内容のチェックを
また、法務局では内容をチェックしてくれませんので、せっかく作った遺言が無効になってしまっては元も子もありません。
遺言作成には注意する点が多くありますので、弁護士にご相談いただいた方が安心です。