自然災害債務整理ガイドライン

この記事を書いたのは:澤健二

 今年はお正月に能登半島地震が起き、自然災害において住宅や車のローンなど借金を整理するガイドラインの申し立てが少しづつでてきています。

 このガイドラインについてご説明します。

 自然災害によって住宅ローンなどの債務が支払えなくなった場合に債務整理をするガイドラインというものがあります。

 略して被災ローン減免制度といいます(さらに略して「被サロ」ともいいます。以下単にGLといいます)。

 運営機関というものがあります。詳細は下記HPをご覧ください。

http://www.dgl.or.jp/

 この制度は災害救助法が適用された自然災害の影響により、ローンの支払いが困難となった債務者について、一定の要件のもと債務の減額や免除が認められる制度です。

 災害救助法が適用された災害ですので、例えば令和6年能登地震ですと石川県・富山県・福井県の一部に災害救助法の適用がありました。GLは、災害救助法の適用地域だけに適用があるのではなく、能登地震の影響により債務の返済が困難になればいいので、その他の都道府県に住む人でも使えます。債務者の居住地による限定はありません。

 愛知県の第1号は熊本地震で影響を受けた愛知県在住の方でした。

 この制度は、破産などと異なり、ブラックリストに載りません。生活再建のためには新たな借金が必要な場合もあるからです。

 また、財産の一部を手元に残すことが可能です。破産ですと差押禁止財産のほかは自由財産として99万円を手元に残せるだけですが、GLですと、差押禁止財産(災害の場合は、生活再建支援金最大500万円とか義援金とか差押禁止財産はかなりあります)のほか、現金等500万円、家財の保険等最大250万円など手元に残せる財産がかなりあります。やはりお金がないと生活の再建は難しいからです。

 また、原則として保証人に責任が及びません。保証人に迷惑をかけられないと言って破産を思いとどまる方はいらっしゃいますが、そんなことを言っていては災害からの復興はできません。ただし、例外的に主債務者との関係や保証により利益を得ているとか「保証履行を求めることが相当な場合」には例外的に保証人の責任が問われる場合があります。

 また、被災者には費用は全くかかりません。弁護士等の登録支援専門家の支援に基づいて債務整理が可能で、登録支援専門家の費用は冒頭HPを引用した運営機関が支払います。

 ただし、事業者でも構いませんが個人でないとダメで会社などの法人には適用はありません。

 原則として災害後の年収が730万円以下という要件もありますが、「原則」ですので「特別の事情」があると支払不能要件を満たすこともありますので、相談してみてください。

 災害により債務の返済が困難だと思ったら、まずは、一番大口の債権者にGLの着手をする同意をもらい最寄りの弁護士会にご相談ください。同意書が金融機関に備えてありますが、金融機関の窓口の方もGLのことをよく知らない場合がありますので、スムーズにいかなければ弁護士に相談してください。

 法律ではなく、あくまで任意整理なので全債権者の同意が必要になります。

 債権者にも破産されるよりましとかの利益があるというのも必要になってきますが(清算価値保証原則)、これも原則ですので債権者が了承してくれればOKです。

 全債権者の同意が得れれば、簡易裁判所に特定調停を申立て、概ね1回で調停が成立し、終了となります。

 災害の影響を受けて借金返済に困ったら一度ご相談ください。


この記事を書いたのは:
澤健二