管理不全土地(建物)管理制度

この記事を書いたのは:戸田裕三

 最近は、居住者のいない空き家の問題が社会問題となっています。相続人等がきちんと管理を行っている場合は良いのですが、相続人等の相続したままで管理していなかったり、そもそも相続していることを知らずに放置しているケースもあるようです。

 このような場合に、今までは所有者を探し出して管理をするように求めることしかできませんでした。しかしこれでは所有者が管理を実施しなければ支障を生じることも考えられますし、一時的に撤去されてもまた同じ状況になることも考えられます。

 このような場合に、近隣や市区町村などが裁判所に管理人の選任を求める管理不全土地(建物)管理制度が2023年4月より実施されています。実施から既に1年半で20件程度の申立てが裁判所になされているとのことです。管理人には、建物の修理や害虫駆除の他に土地建物の管理の一環として土地建物の売却を行う権限も与えられており(ただし所有者の同意が必要)、抜本的な解決も可能と思われます。

 また登記簿謄本などを調べても所有者が不明な土地が存在することがあります(例えば登記簿に所有者の氏名のみが記載されており、所有者の住所の記載がない場合など)。

 このような場合に、今までは土地を売ることも買うこともできませんでした。しかしこれでは近隣の土地開発等に支障を生じることも考えられますし、空地の管理がなされないために、ゴミが放置されるままになっている場合も存在します。

 このような場合に、近隣や市区町村などが裁判所に管理人の選任を求める所有者不明土地管理制度が2023年4月より実施されています。実施から既に1400件以上の申立てが裁判所になされているとのことです。

 管理人には、土地の管理の一環として土地の売却を行う権限も与えられており(ただし裁判所の許可が必要)、地域を一体として開発するようなケースでの利用も行われているとのことです。

 なお所有者不明建物を対象とする所有者不明建物管理制度も始まっています


この記事を書いたのは:
戸田裕三