遊休農地に減税と増税の分かれ道、固定資産税を1.8倍に増税?

この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

我が国では、農地を相続したけれど農業をしていない非農家が増え、余っている土地が使いたい者に渡らず、空き地になっているケースが多くあります。この20年間で、全国の耕作放棄地は倍増し、滋賀県全体と同じ規模に達しています。
そこで、耕作放棄地の発生防止と解消施策の一環として、平成28年度の税制改正大綱には、耕作に適した土地なのに放置されたままになっている遊休農地をめぐる税制を見直すことが盛り込まれました。
それによると、遊休農地を長期間貸し出した場合は固定資産税を半額に減税し、貸し出さず耕作もしないで放置したままの場合は、固定資産税を現在の1.8倍に増税するというものです。
◎ 減税措置を受ける場合
(要件)1 農地中間管理機構(農地集積バンク)を介して、農地を長期間貸し出すこと。
☆ 農地中間管理機構=平成25年12月13日に公布された農地中間管理事業の推進法によって、農地利用の集積・集約化を行うため、各都道府県に創設されました。ちなみに、愛知県では公益財団法人愛知県農業振興基金(電話052-951-3288)がこの事業を行っています。
2 貸し出し期間が10年以上であること。
3 所有するを農地の全てを貸し出すこと。

(効果)1 貸出期間が10年~14年の場合は、3年間、固定資産税が半額に減税されます。
2 貸出期間が15年以上の場合は、5年間、固定資産税が半額に減税されます。

(運用)1 地域内の分散した農地を整理し担い手ごとに集約化する必要がある場合や、耕作放棄地について農地中間管理機構が所有者から借り受けます。
2 機構は、必要な場合は基盤整備などの条件を整備した上で、担い手(法人経営、大規模家族経営、集落経営、
企業)がまとまりのある形で農地を利用できるように配慮し、農地を貸し付けます。
◎ 増税対象とされる場合
(要件)1 耕作地として再生できると農地中間管理機構が判断した遊休農地であること。
2 耕作しないで放置していること。
(効果) 平成29年度分から固定資産税が現在の1.8倍に増税されます。


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旭合同法律事務所(名古屋)