民法改正試案

この記事を書いたのは:木下敏秀

民法改正の試案

現在、民法改正の試案が検討されています。

試案では、今の民法では規定がなかった約款に関する定義とルールの新設があります。インターネットなどで契約する際、画面に表示される長文の約款を細部まで読まずに合意する利用者も多いため、ネット取引でのトラブルも多発しています。試案では、約款について「利用者に過大な不利益となる内容は認めない(無効)」としています。

保証については、事業上の融資での個人保証を原則無効とし、「いわゆる経営者」の個人保証は例外的に認めるとしています。「いわゆる経営者」に社長以外の実質的オーナーや社長の親族を含めるかは今後の検討課題としています。

損害賠償をする際に上乗せしなければならない遅延損害金の算定などで用いる法定利率は、現行の「固定制の年率5%」が市場金利より著しく高いため、「3%」に引き下げた上で年1回、改定の機会を設ける「変動制」…に移行する案が示されています。

債権の消滅時効については、例外として定められている「1年」、「2年」「3年」の「短期消滅時効」を廃止し、現行規定で原則となっている「10年」を「5年」に短縮して時効期間を一本化することを含め、複数案が併記されました。

契約相手の弱みにつけ込み過大な利益を得る「暴利行為」の規定や、認知症の高齢者などが意味を理解する能力(意思能力)のない状態で契約を結ぶと無効となるとした規定も、明文化することにしています。もっと見る


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木下敏秀