有料メール交換サイトによる詐欺
この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)
平成21年、ネットで異性とメール交換ができる「有料メール交換サイト」の「直撃ドキュン」「直アドゲッチュー」「ピュアラブROYAL」「ご近所直アドnet」などのサイトに会員登録をしました。
この有料メール交換サイトに登録すると、他のサイト利用者とネット上でメール交換ができ、異性と知り合うことができるという出会い系サイトです。
ただ、サイト内でメールのやりとりをするためにはその都度「ポイント」が必要で、このポイントはサイト運営会社からお金を払って購入する必要がありました。
このメール交換サイトを通じて、多数の女性から「多額のお金をあげる」「話し相手になってくれたら数千万円あげる」「会ってくれたら性交渉してあげる」「精子を提供してくれたらお礼をあげるから会いたい」などのいろんなメールを受け取りました。
当時、単身赴任中で寂しく、女性と親しいメールを受け取るなどして舞い上がってしまい、多数の女性とおびただしいメールのやりとりをしましたが、いつも最後には連絡が取れなくなったりして、結局、女性と会ったり、お金をもらったりなどしたことは一度もありませんでした。
しかし、こうしたメールのやりとりをするために、膨大なポイントを使ってしまい、そのポイントを購入するために総額2031万円ものお金を使ってしまったのです。
こうした女性はサイト運営会社が雇っている「サクラ」であり、会社ぐるみの詐欺であるとして、運営会社に対して損害賠償を求める裁判を提起したのです。
第1審では、女性たちが運営会社が雇っている「サクラ」であるとの証拠がないとして敗訴してしまいました。
しかし、第2審では、女性たちは私に多くのポイントを使わせるように、なんども面会を約束してはキャンセルすることを繰り返したり、口座番号などのメールの手続きを何度も繰り返させるなどしているとの事実を指摘しました。
その上で、このような行為はできるだけ多くのポイントを使わせる目的でなされており、それによって利益を得るのはサイト利用者ではなくサイト運営会社しかない、そうであれば、女性たちはサイト運営会社が組織的に使用している「サクラ」である、詐欺である、と認定してくれたのです。
そこで、裁判所は、サイト運営会社に対し、私が受けた損害全額について賠償するように命じてくれました。
@東京高裁平成25年6月19日判決(判時第2206号83頁)
この記事を書いたのは:
旭合同法律事務所(名古屋)