任意後見契約の解除

この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

高齢になり判断能力が低下した時に、自己の財産を管理保全する方法として任意後見契約という制度があります。

これは予め自己の判断能力が低下した場合に、信頼できる特定の人物に後見人(財産などの保全管理をなどをしてもらう人)になってもらうように公正証書(公証人役場で作成します)によって後見人予定者と任意後見契約を締結しておき(この段階で後見人予定者は登録されます)、実際に判断能力が低下した場合に後見人予定者に正式に後見人になってもらって自己の財産管理等を行ってもらう制度です。

最近は高齢者で一人暮らしの方が増えているため将来の不安から任意後見契約を締結される方が増えているようです。

しかし気をつけなければならないのは後見人予定者をどうやって選ぶかです。

前々からよく知っている方なら安心ですが、よく知らない方(知らない法人などもあります)から「○○円を預けて頂ければ後見人になって将来の面倒を見ますよ」と話を持ちかけられて契約の中身もよく吟味しないままに任意後見契約を締結してしまうケースもあります(公証人役場では、契約内容の細かいチェックまではしません)。

場合によっては公証人役場で任意後見契約を締結する際に予定していなかった遺言書までついでに作成してしまうケースもあるようです(後見人が残った財産を全部貰うという遺言内容になっていたりします)。

このようなケースの場合は、任意後見契約を解除することができます(遺言書も取り消せます)。

方法としては①公証人役場で契約当事者双方で任意後見契約の合意解除の書面を作ってもらって東京法務局に提出して後見人予定者の登録を削除してもらうか、②公証人役場で解除通知(内容証明郵便形式)を作ってもらって後見人予定者に送付してから東京法務局に解除通知等を提出して後見人予定者の登録を削除してもらう方法があります。

解除のやり方がよく分からない方や契約内容に不安がある方は一度弁護士に相談してみてください。


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旭合同法律事務所(名古屋)