事業承継と事業再生

この記事を書いたのは:木下敏秀

【団塊経営者の大量引退期】

 中小企業庁の調査では、経営者の平均引退年齢は中規模企業で67.7歳、小規模事業者で70.5歳となっており、今まさに数十万の団塊経営者の引退時期が到来します。団塊経営者の引退を放置すると、長期間に渡って蓄積された貴重な技術やノウハウが失われることになり、経済界のみならず国家的な損失にもなります。

【廃業予定企業の中にも好業績企業があります】

 60歳以上の経営者のうち、50%超が廃業を予定しており、特に個人事業者では約70%が「自分の代で廃業するつもり」と回答しています。しかし、廃業予定企業であっても30%の経営者が同業他社よりも良い業績を上げていると回答し、今後10年間の将来性についても40%の経営者が少なくとも現状維持は可能と回答しています(中小企業庁の調査)

【事業承継ガイドラインの公表】

 中小企業庁は事業承継の円滑化により中小企業の技術やノウハウをしっかり受け継ぎ、世代交代を通じた活性化を促進することを目的として「事業承継ガイドライン」を公表しています。

【事業承継支援体制としての弁護士】

 事業承継ガイドラインには取組内容として5つのステップを掲げています。

 1 事業承継への準備の必要性認識

 2 経営状況等の把握(見える化)

 3 経営改善(磨き上げ)

 4 〔親族内・従業員承継〕事業承継計画策定

   〔社外への引継ぎ〕マッチング実施

 5 事業承継の実行

 事業承継の支援体制としては「事業承継ネットワーク(商工会、商工会議所など)」「よろず支援拠点」「ミラサポ専門家派遣」「事業引継ぎ支援センター」がありますが、法律専門家である「弁護士」も他の支援体制と連携を取りながら事業承継の支援をすることが期待されています。

【事業再生は専門家弁護士にご相談を】

 事業承継において、利益は出ているが多額の負債があるため、事業承継の障害になっているケースもあります。特に、親族内・従業員承継においては「多額の負債」の心理的なハードルは高いことが多いと思われます。

このような事業承継と事業再生がセットとして問題になる事案には、事業再生の経験豊富な弁護士の役割が重要となります。事業再生の方法としても中小企業再生支援協議会、特定調停、民事再生等の多様な手段があり、どの手段をどのタイミングを活用するかは事業再生の成否において重要なポイントとなります。事業再生に伴うM&Aを検討する場合にもどのようなマッチングをするか、引退経営者や従業員の気持ちに配慮できるか等が大切になります。

 当事務所は事業再生の経験豊富な弁護士が数多くおり、事業再生に必要な他業種の専門家との連携・支援体制も構築しております。是非、事業承継や事業再生についてお気軽にご相談ください。





この記事を書いたのは:
木下敏秀