「財産を全て任せる」の遺言は包括遺贈とされた事例
この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)
ある人が、平成20年2月14日に死亡しましたが、この人は、4通の遺言書を残していました。
平成14年6月11日に公正証書遺言を作成。
平成14年10月15日に自筆証書遺言を作成。
平成14年12月23日に自筆証書遺言を作成。
平成17年11月11日に自筆証書遺言を作成。
そして、平成17年の最後の自筆証書遺言書には、「私が亡くなったら財産については私の世話をしてくれた長女に全てまかせます よろしくお願いします」と書き残されていました。
その後、この最後の遺言が、単に、長女に遺産分割手続きを中心となって行うよう委ねる趣旨にすぎないか、それとも、長女に遺産を全て包括して遺贈するという趣旨なのかが、裁判で争われました。
第一審の裁判所は前者の意味であると判断しましたが、第二審では後者であると判断しました。
遺言を解釈するに当たっては、遺言書全記載との関連、遺言書作成当時の事情などを考慮して遺言者の真意を探求し、遺言書の条項の趣旨を確定すべきとされています。
第二審では、最後の遺言作成当時、遺言者がもっぱら長女の世話になっていた事実を重視して、長女に対する包括遺贈と解釈しました。
「財産を●●に任せる」という遺言は、裁判で争いになりやすい文言でして、裁判所によっても結論が分かれてしまうものです。
遺言を作るときには、是非、気をつけていただきたいですね。
@大阪高裁平成25年9月5日判決(判時第2204号39頁)
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旭合同法律事務所(名古屋)