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自筆証書遺言と公正証書遺言が共に無効となった事例

自筆証書遺言と公正証書遺言が共に無効となった事例

遺言者は、平成21年11月18日に自筆証書遺言を、平成22年1月7日に公正証書遺言を残し、平成22年4月に亡くなりました。

この2つの遺言の有効性が争われた裁判がありました。

まず、公正証書遺言の作成は次のような状況でした。遺言者は、「○○に全部」「○○にも」と述べ、また、公証人から遺言内容の読み上げがあり、これでいいですか、と尋ねられて頷いたものの、遺言内容について具体的に発言することはなかった。

公正証書遺言では、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授する必要があるが、この「口授」するとは、遺言者が自ら発した言葉自体により、これを聞いた公証人のみならず立会証人も、その言葉で遺言者の遺言の趣旨を理解することが出来る必要がある。公証人の質問に対して、肯定的な言辞、挙動をしても、口授には当たらないとされ、公正証書遺言は無効とされた。

次に、自筆証書遺言ですが、遺言者は、自ら遺言書を自筆したものの、周囲の者から、そのままでは遺言書として通用しないと言われて、公正証書遺言を作成することになったという経緯があった。そうすると、すでに遺言者は、自筆証書遺言を自らの遺言とする意思自体を失っていたといえる。そうすると、この自筆証書遺言には遺言意思があるとは認められず無効とされた。

自筆証書遺言と公正証書遺言の両方を作ったのに、両方とも無効となってしまいました。

@東京高裁平成27年8月27日判決(判時第2352号61頁)


この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

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