不動産

耐震性能の不足を理由とする賃貸借契約の更新拒絶

都市再生機構は、昭和46年に集合住宅用建物(マンション)を建築しました。
この建物は当時の建築基準法が要求する耐震性能を備えていました。
しかし、その後の建築基準法の改正等で耐震基準が厳格化された結果、こうした耐震性能を満たさなくなり、倒壊の危険性が高いと判断されました。

そこで、都市再生機構は、本件建物についての耐震改修方法を検討したところ、改修費用が家賃収入の約5年分に相当する金額になるとし、入居者に説明会をするなどして、移転等に関する代替措置を提示した上で多くの入居者に退去してもらった。
しかし、どうしてもこの退去の申し入れに応じてくれない入居者がいたため、都市再生機構は、退去してくれない入居者との賃貸借契約の更新を拒絶して、建物からの退去を求める裁判を提起したのです。

裁判所は、
①賃貸人が負担する修繕義務は、契約締結時に予定されていた目的物以上のものに改善することまでは含まれないこと
②どのような方法で耐震改修を行うべきかは基本的には賃貸人がその合理的な裁量により決定できること
③賃貸人は、居住者に対して、類似物件を移転先として斡旋したり、移転費用を補填するなどの配慮をしていたこと
などを指摘しました。
その上で、耐震性に問題があり、経済合理性の観点から耐震改修工事が困難であるので、これ以上賃貸借契約を存続させることは相当ではない、都市再生機構(賃貸人)が賃貸借契約の更新を拒絶することに「正当な理由」があったとして、入居者に対して建物からの退去を命じました。

@東京地裁平成25年3月28日判決(判時第2201号80頁)


この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

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