交通事故

睡眠導入剤を使用した自動車運転中の事故

平成21年、緊急の手術が行われることになったため、医師が自動車を運転して病院へ向かいました。そして、そのとき、自損事故を起こしてしまいました(車両は全損)。

そのため、医師は保険会社に対し、車両保険金(約805万円)の請求をしましたが、保険会社は、事故当時、医師は睡眠導入剤を使用しており、その影響により正常な運転をすることができないおそれがある状態で運転していたから、保険約款により支払義務が免責されると主張しました。

そこで、医師は保険会社に対し、車両保険金などの支払いを求めて裁判を提訴しました。
裁判では、医師が睡眠導入剤の使用を否定していたため、事故当時、睡眠導入剤が使用されていたかが最大の争点となりました。

そして、裁判所は、①医師は本件事故前の運転中のことについて、その経路も含めて途中から記憶をしていないこと、②事故後に行われた調査において、医師は本件事故現場を特定することができなかったこと、③本件事故により頭部打撲などの衝撃が生じた可能性について、医師も否定していること、④医師は日常的に睡眠導入剤を使用していたこと(本件事故当時の使用は否定しているが)、などを認定しました。

その上で、裁判所は、医師に本件事故前後の記憶がない原因は、睡眠導入剤の使用にあるとし、その使用により正常な運転ができないおそれがある状態を生じさせたから、保険約款により、車両保険金の支払いは免責されると判断しました。

@岐阜地裁平成25年2月15日判決(判時2181号152頁)

ところで、最近、不眠症の人が睡眠導入剤を服用するケースが多いですが、翌朝に眠気が残るおそれがあり、注意が必要です。


この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

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