立退き料と税金

この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

Q 私が賃借して雑貨商を営んでいる建物がマンション業者に売却されることになりま
した。大家さんから貰う立退き料に、税金はかかるのでしょうか。
A 建物を明け渡して立退き料を受け取ると、所得となります。
Q 受け取る立退き料は、どのような所得区分で申告すればよいのでしょうか。
A 立退き料は、その中身によって3つの性質に分かれていて、所得区分が違います。

  1. 譲渡所得
    建物の明け渡しによって消滅する権利の対価に相当する金額は、譲渡所得
    の収入になります。
    例えば、最初に賃借する際の権利金50万円と、3年ごとの更新料5回分で
    通算15万円を払っていたあなたが、賃借権(借家権)を手放す代償として
    100万円を大家さんから貰った場合は、
    100万円ー(50万円+15万円)=35万円
    ですが、所得税法第33条4項に定める特別控除(最大50万円まで、この
    場合は35万円)が適用されるので、譲渡所得は「0円」となり、所得税は
    かかりません。
  2. 事業所得その建物で営んでいた事業の休業または廃止による営業上の収益の補償に相
    当する金額は、事業所得の収入になります。
  3. 一時所得
    立退きに当って必要な移転費用の補償としての金額は、一時所得の収入にな
    ります。
Q アパートなど居住用の建物(居室)を明け渡すときの立退き料は、税法ではどうな
りますか。
A 居住用の建物ですと、前述の③に当る場合が多いでしょう。例えば、立退き料70
万円を貰った人が、実際の引越費用に50万円かかったとします。このときの一時所
得の計算は、
70万円ー50万円=20万円
ですが、所得税法第34条第3項に定める特別控除(最大50万円まで、この場合は
20万円)が適用されるので、一時所得は「0円」となり、所得税はかかりません。

この記事を書いたのは:
旭合同法律事務所(名古屋)