被害者に謝り示談したいが方法が分かりません。

この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

    謝罪と示談の方法

    刑事事件を起こしてしまったとき、多くの場合は被害を受けた人(被害者)がいるのが普通です。

    加害者として、そのような被害者に謝って、被害者に与えた損害を弁償することで償いをしたいと考えるのは大切なことです。

    被害者にお詫びして謝ることは謝罪と言われています。
    また、被害者との話し合いで被害を弁償し、被害者への損害賠償関係を解決することを示談と言います。

    1 謝罪も示談も、その相手方は被害者またはそのご遺族です。
    そのため、謝罪にしても示談にしても、先ずは相手方の名前と住所と連絡方法を把握することから始まります。
    被害者など謝罪・示談の相手方の住所や連絡方法が分かっている場合もあれば、分からない場合もあります。

    相手方の住所や連絡方法が分かっていない場合は、その事件を担当している警察又は検察庁に問い合わせて、教えてもらいます。
    しかし、被害者の住所等は個人情報ですから、警察も検察庁も被害者又はご遺族本人の承諾を得なければ、無断で開示することはできません。
    そのため、警察や検察庁に被害者等の連絡先を問い合わせても、被害者等の同意が得られないという理由で、教えてもらえないケースが増えています。

    警察や検察庁に問い合わせたが、被害者等の連絡先を教えてもらえなかった場合は、問い合わせた日時、問い合わせ先の担当者名、開示できないとの回答を受けた日時、回答者の所属官署と氏名、開示できない理由を記録しておきます。
    これによって、謝罪の意思と示談の意思があるのに、それを実現できない経緯が分かります。

    2 謝罪・示談の相手方への連絡方法が分かった場合、手紙とか電話によって謝罪の気持ちを伝え、相手方に支障のない訪問の日時と場所をお尋ねします。

    相手方とお会いする日時・場所が決まったら、当日への準備です。
    準備としては、謝罪する言葉の内容と、自分の方で誠意をもって提示できる示談金額や支払い方法(例えば一括払いか分割払いか)の案を練っておくことです。
    示談は、相手方との話し合いで決まるので、必ずしも自分が提示する金額どおりになるとは限りません。
    そのため、最大限どこまでの金額であれば支払えるかMAXを腹づもりしておく必要があります。

    3 相手方とお会いする当日、約束の時間や場所を必ず守ることは勿論ですが、できれば自分一人ではなく、親族などの付添人に同道してもらった方が無難です。

    相手方との面談に際しては、あくまで誠意ある態度と言葉使いで臨みます。示談の話し合いは相手のある交渉ですから、1回で済む場合もあるし、2回3回とかかる場合もあります。
    条件面が折り合わないで示談が成立しない場合もあります。
    示談が成立しなかった場合は、示談交渉の当事者、日時、場所、双方が提示した示談条件の内容等を記録しておきます。

    4 示談交渉が円満に進んだ場合は、必ずその内容を例えば示談書とか和解書などの書面にしておきます。
    その書面には、作成年月日を記載するとともに、当事者が署名・押印して各自が同じ書面を手元に持つことにします。
    示談に従ってお金を支払ったときは、必ず受領証(領収証)を貰います。
    その受領証には示談で約束したお金の支払いであることの記入を求めておきましょう。

    5 これらの謝罪と示談は、加害者が自分で進めることもできますが、円滑にことを進めるためには、信頼できる弁護士に相談して示談交渉等を担当して貰うのが近道です。

    自分の刑事事件で弁護人がついているときは、被害者と示談したい希望を弁護人に伝えておけば、その弁護人が被害者等との連絡や示談交渉を進めてくれます。


この記事を書いたのは:
旭合同法律事務所(名古屋)