犯罪被害者の刑事裁判の参加制度

この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

皆さんは犯罪被害者の刑事裁判の参加制度をご存じですか。

特定の事件については犯罪の被害者が犯人の刑事裁判に当事者として参加することができます。

特定の事件とは、代表例として殺人、傷害、危険運転致死傷、強制猥褻、強姦、逮捕監禁罪、誘拐罪などです。

これらの事件の被害者、遺族、被害者の法定代理人(未成年者の両親など)などは刑事裁判に参加することができます(なお刑事裁判への参加を弁護士に委託することも可能です)。

これらの方が裁判への参加を希望される場合は、まず検察官を通じて裁判所に裁判への参加申し出をしなければなりません。裁判所は審査の上で相当と認める時は検察官を通じて被害者に参加を認める旨の通知を出します。

この通知が被害者に届くと申し出をした被害者は以下のような権利行使が可能になります(なお③④の権利を実際に行使する場合は、検察官に権利行使する旨の事前通知をする必要があります)。

① 裁判への出席(傍聴席ではなく検察官の隣にすわります)
② 検察官の訴訟活動に関し、意見を述べ、説明を聞くこと
③ 一定の範囲内で情状証人や被告人に質問すること
④ 事実及び法律の適用について意見陳述すること(被害者が自己の心情を述べるだけであれば参加手続きは

不要ですが、検察官への事前申し出は必要です)
なお①③④を被害者本人ではなく弁護士に依頼してやってもらう場合には、裁判所に委託届けを改めて出す必要があります。
現在、私は、傷害事件の被害者から委託を受けて裁判手続きに出席しており、先日も被害者の代理人として犯人と犯人の関係者に質問を行いました。これによって犯人の被害者に対する謝罪が十分になされてこなかったことが裁判官にもアピールできたと思います。またこれによって示談が少しでも進むことを期待しています。


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旭合同法律事務所(名古屋)