飲酒運転による懲戒免職が許されないこともある

この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

2014年10月31日、酒気帯び運転した元県職員を懲戒免職した県の処分が、裁量権の乱用であるから違法だとして、処分の取り消しを命じる判決が秋田地裁で言い渡されました。

秋田県を含む多くの自治体は、飲酒運転に対する厳しい世論を受けて、飲酒運転した公務員を免職するという処分基準を設けています。

この基準に基づいて懲戒処分に付される公務員が跡を絶ちません。

その一方で、免職処分を不服として、その取り消しを求める訴訟では、裁量権の乱用であると判断され、免職処分が取り消されるケースが全国で相次いでいます。冒頭の秋田県の例もそのうちの一つです。

これらの裁判例を見ると、裁判所の判断は、処分基準を形式的に当てはめるのではなく、個別の事情に照らして慎重に処分をきめるべきだという傾向が窺えます。

ちなみに、冒頭の秋田県の例は、市内で前夜飲酒した男性職員が自宅前に停めていた車の中で就寝していたところ、午前3時前頃、突然、車の盗難防止装置が作動してクラクションが鳴りだしたため、近隣住民の迷惑にならないようにと約800メートル離れた空き地まで低速度で運転したという事案です。


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