建設アスベスト給付金制度について

この記事を書いたのは:前田 大樹

1 はじめに

 建設現場のアスベストにより健康被害を受けた労働者を救済するため「建設アスベスト給付金法」が成立しました。そして,アスベスト被害を受けた一定の条件を満たす建設労働者等に対して,給付金制度が開始されました。

 厚労省HP

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/kensetsu_kyufukin.html

2 対象者

  •  昭和47年10月1日から昭和50年9月30日の期間石綿の吹付け作業に係る業務をした者
  •  昭和50年10月1日から平成16年9月30日の期間一定の屋内作業場で行われた作業に係る業務をした者
    • 想定される職種としては,大工、内装工、電工、左官工、吹付工、塗装工、配管工、タイル工、ダクト工、空調設備工、鉄骨工、溶接工、保温工、ブロック工、鳶工、墨出し工、型枠大工、はつり工、解体工、築炉工、サッシ工、エレベーター工、シャッター工、電気保安工、現場監督など
  •  上記の者の中で,石綿関連疾病(中皮腫,肺がん,著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚,石綿肺及び良性石綿胸水)に罹っていること

 ※屋外は対象外となります。

3 給付金等の主な内容

石綿肺管理2でじん肺法所定の合併症がない場合550万円
石綿肺管理2でじん肺法所定の合併症がある場合700万円
石綿肺管理3でじん肺法所定の合併症がない場合800万円
石綿肺管理3でじん肺法所定の合併症がある場合950万円
肺がん・中皮腫・著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚,石綿肺管理4
,良性石綿胸水である者
1150万円
上記1及び3により死亡した者1200万円
上記2,4及び5により死亡した者1300万円

4 期間制限

  •  石綿関連疾病にかかった旨の医師の診断の日、あるいは石綿肺に係るじん肺管理区分の決定の日、のいずれかの遅い日から起算して20年
  •  石綿関連疾病により死亡した日から起算して20年

5 給付金を受け取るためには

 給付金を受け取るためには、定型書式の他に資料を揃える必要があります。具体的な下記のとおりです。

①医師の診断書及び診断の根拠となる資料

②労働基準監督署長発行の「労災保険支給決定通知書」

③日本年金機構発行の「被保険者記録照会回答票」

④特別遺族給付金の「支給決定通知書」

⑤石綿救済法の救済給付に関する「支給決定通知書」

⑥じん肺管理区分決定に関する「じん肺管理区分決定通知書」

⑦就労証明書

⑧作業日報,等

 給付金を受け取るために必要な様式があります。事業主もしくは(元)同僚などから証明を受ける必要があります。協力いただける方を探し、ヒアリングする必要がありますが、これを弁護士がお手伝いすることもできます。

6 その他

  •  建設アスベスト給付金請求の手続では、被害に遭われた方が労災認定を受けているかどうかは関係ありません。労災認定を受けていない場合でも、給付金請求の要件を充たしていれば、給付金を受け取ることができます。

    反対に、既に労災補償を受け取っていたとしても、給付金の請求は可能です。

  •  被災者がお亡くなりになった場合、遺族の方が請求することができます。この場合、先順位の方が代表して請求することになります。
  •  被災者の症状が肺がんで喫煙の習慣がある場合でも要件を充たせば給付金の請求は可能ですが、喫煙歴の長さにより得られる給付金の額が減額されます。

7 さいごに

 旭合同法律事務所では、アスベスト被害を受けた方々やそのご遺族の方のご相談を幅広く受け付けております。

  お気軽にご相談ください。


この記事を書いたのは:
前田 大樹