宝くじで2億円当たり、妻と離婚。当選金は財産分与の対象になるか?

この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

宝くじ当選金は財産分与の対象になるか

私は、平成5年に妻と結婚しました。その後、子供が2人できました。私は、看護師をしており小遣い2~3万円程度でしたが、その小遣いから毎月2000円程度を使って宝くじを買い続けていました。すると、なんと約2億円が当選したのです。

その後、当選金を使って住宅ローンの残債務を完済し、また、平成20年には仕事を退職しました。退職後は、当選金を資産運用して生計を立てようとしましたがこれがうまくいかず、そのため、当選金から毎月30万円程度を生活費として妻に渡していました。
しばらくしてから、私は仕事を復職しましたが、収入が減ったこともあり、給料に加えて、当選金から毎月5万円を生活費として妻に渡していました。

その後、私の不倫が原因で平成26年に協議離婚をしましたが、財産分与についてだけは協議がまとまりませんでした。そこで、妻が裁判所に対し財産分与の申立をしてきて、宝くじ当選金によって形成された資産も財産分与としてその半分を分与すべきだと主張してきたのです。

裁判所は、
①宝くじの購入原資は、夫婦の協力によって得られた収入の一部から拠出されており、その当選金は家族の住居費や生活費に充てられたのだから、宝くじ当選金によって形成された資産は、夫婦の共有財産と認めるのが相当である、
②もっとも、私が自分の小遣いの一部を充てて宝くじの購入を続け、これによって偶々とは言え当選したものであるから、宝くじ当選金を原資とする資産の分与割合は、私が6、元妻が4の割合とすべきである、
と決定されてしまいました。
そのため、夫婦名義で残っている資産はそのほとんどが宝くじ当選金を原資とするものであったので、その4割が妻に分与されてしまいました。

@東京高裁平成29年3月2日決定(家庭の法と裁判13号71頁)


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