自治会への加入は任意で強制されるものではない?

この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

自治会費に関するチラシを住民宅のドアポストに投函したところ、その住民は、自治会長宛てで自治会に加入する意思がなく、今後、自治会に関する案内、説明、自治会費の徴収行為等を行った場合は、一方的に「強要行為」とみなす旨を書面で通知した。

これに応答して、自治会長は、自治会活動は国家が認める地域活動の組織であり、その活動資金を地域住民や地域行政が支えていること、今後も自治会費の徴収を続ける考えであり、自治会の会員が熱心に徴収を行う旨を記載した書面を渡した。

さらに、自治会長は、自治会への加入は任意ではなく、法律や条例で加入の強制が認められるとした上で、それに従わない住民はこの団地に居住する資格がない、との書面を渡した。

これらの事実からは、自治会への加入は任意でなく強制されているものであると告げて、自治会費の支払を請求したことが推認される。

その上で、自治会長は、自治会費の支払を求め続ける旨伝えている。

そうすると、自治会長は、自治会の職務を行うについて、自治会への加入が強制されることがないことを知りながら、あるいはこれを容易に知りうるのに、自治会への加入を強制し、自治会費の支払を請求したのであるから、その結果、住民が精神的苦痛を被ったものと認められる。

そのため、自治会長の上記言動により精神的苦痛を受けたことが認められるので5万円の慰謝料を認めるべきである。

@福岡地裁平成25年9月19日判決(判時2221号45頁)


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