刑事裁判でも、民事裁判での和解と同じ効力をもつ刑事和解の制度がある

この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

刑事裁判でも、民事裁判での和解と同じ効力をもつ刑事和解の制度があります。

刑事裁判で審理されている犯罪から発生した被害について、加害者である被告人と被害者などとの間で示談(和解の取り決め)が成立した場合、示談金の全部又は一部の支払いが将来になるときは、その刑事事件を審理している第一審裁判所または控訴審裁判所に申立てると、この示談内容が公判調書に記載されます。

示談内容が記載された公判調書は、民事裁判で成立した和解と同じ効力があります。そのため,この制度は刑事和解と呼ばれています。

刑事和解の制度を利用しておけば、示談で取り決めたお金を被告人が支払わない場合には、別の民事裁判の手続きをとらなくても、この公判調書を使って強制執行の手続きができます。

示談内容を刑事裁判の公判調書に記載することを求める申し立ては、示談の当事者である被告人と被害者などの双方が共同して申立てる必要があります。

申立てができる期間は、その刑事裁判が始まってから結審するまでの間です。

被害者やその遺族にとっては、公判調書に示談内容が記載されることによって裁判上の和解と同じ効力を確保できるため、刑事和解の申し立てには大きなメリットがあります。

また、被告人にとっては、被害者などとの和解内容が公判調書に記載されることで、情状の面で強いインパクトがあります。

そのため,共同での申立てには支障がないのが普通です。


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