偽装質屋の問題点

この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

質屋営業の許可を受けているが、貸付け金額からみてほとんど無価値な品物を預かって、お金を貸し付ける業者を偽装質屋といいます。

相手から品物を預かり、それを担保にお金を貸すのが質契約です。

質物の置き主は、借りたお金の元利金を弁済しなければ、預けている品物が質流れ(流質処分)にされ、その所有権を失います。

その代わり借受金の弁済義務も消滅します。これが質契約の中身です。

一般の質屋は、お客との間でこの質契約を結んで営業しています。そのため、お客は借りたお金を弁済して質物を受け戻すか、それとも元利金を弁済せず流質にするか、自由に選択できます。

ところが、偽装質屋のやり方は全く違います。お客の預金口座から自動引落としで元利金の弁済を受ける手続きをさせ、お金の借主が流質を選択できない仕組みにしています。しかも、質屋営業法では、特例高金利(109.5%)が認められています。

その上に、偽装質屋が手続きさせる自動引落し口座は、年金の入金がある口座を狙ってきます。法律で差押えなどが禁止されている公的年金を事実上の担保に取っているのです。

このように数々の問題を抱え、質屋営業許可を隠れ蓑にしている偽装質屋からの被害根絶を期し、日本弁護士連合会は今年7月、警察用長官と国家公安委員会委員長あてに、「質屋営業法改正に関する意見書」を提出しました。


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旭合同法律事務所(名古屋)