パワハラ対策が義務化!企業が行うべき7つの対策を弁護士が解説
この記事を書いたのは:福島宏美
皆様こんにちは。旭合同法律事務所の弁護士福島宏美と言います。早速ですが、パワーハラスメント対策が事業主の義務となりますので、事業主の皆様に 厚生労働省が推奨する7つの対策について 厚生労働省の方針・ガイドライン・活用資料に基づいて解説させていただきます。
1 トップのメッセージ
組織のトップが職場のハラスメントは職場からなくすべきであることを明確に示す必要があります。
【ひな型】
ハラスメントについて
ハラスメント行為は人権にかかわる問題であり、従業員の尊厳を傷つけ職場 環境の悪化を招く、ゆゆしき問題です。当社は、ハラスメント行為は断じて許さず、すべての従業員が互いに尊重し合える、安全で快適な職場環境づくりに取り組んでいきます。 このため、管理職を始めとする全従業員は、研修などにより、ハラスメントに関する知識や対応能力を向上させ、そのような行為を発生させない、許さない企業風土づくりを心掛けてください。
○○年○月○日
○○株式会社 代表取締役社長 □□□□
2 ルールを決める
就業規則にハラスメント防止の関係規定を整備したり、労使協定を締結することです。厚生労働省が指摘するポイントは以下の事項があります。
【ポイント】
・ 労使一体で取組を進めるために、労働協約や労使協定などでルールを明確化することが効果的です。
・ 罰則規定の適用条件や処分内容、また、相談者の不利益な取扱いの禁止などを明確に定めましょう。
・ ルールは、従業員にとって分かりやすく、できる限り具体的な内容としましょ う。
・ 就業規則などにルールを盛り込む場合には、労働組合や労働者の代表などの意見 を聴くことが求められています。就業規則の変更の目的や意義を十分伝え、意見 交換した上でルールを決めましょう。
・ 就業規則を変更した場合は、その内容の周知が義務付けられています。従業員へ の説明会や文書の配布なども忘れず実施しましょう。
3 ハラスメントの実態を把握する
【アンケートの実施】
職場のハラスメント防止対策を効果的に実施するため、アンケート調査を早い段階で実施するのが望ましいです。
アンケート調査は、ハラスメントの有無や従業員の意識の把握に加えて、働きやすい職場環境づくりについて考える貴重な機会にもなります。
調査手法としては、紙や電子ファイルでの実施に加え、インターネット上で実施する仕組みもあります。
【アンケート結果の活用】
社内アンケート調査を実施した後、その後の社内対応なければ従業員に不信感を抱かせることもあります。アンケート結果を公表して従業員の意識を高めることに利用したり、分析結果に応じた取組を始める等、アンケート実施後の対応が必要です。
4 社内のハラスメント教育をする
予防対策で一般的で効果が大きいと考えられる方法が、教育のための研修の実施です。研修は、可能な限り対象者全員に受講させ、定期的に、繰り返して実施するのが望ましいです。
【研修資料】
厚生労働省の「あかるい職場応援団」の研修動画(https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/movie/)も活用すると有効です。
外部専門家(弁護士、社会保険労務士など)の研修・セミナーも定期的に実施するとよいでしょう。
5 社内にハラスメント対策を周知する。
周知方法としては、人事部門や組織長による取組の説明会の実施や相談窓口を案内するポスターや掲示資料の活用があります。
【厚生労働省のポスター例】
6 相談・解決の場を設置する
従業員にとってハードルの低い相談窓口が必要です。
相談窓口には、内部相談窓口型・外部相談窓口型・両方の併用型があります。
【内部相談窓口型】
・人事労務担当部門やコンプライアンス担当部門等
【外部相談窓口型】
・弁護士事務所・社会保険労務士事務所等
内部相談窓口の担当者の役割には、「相談の受付」の役割に限定する場合と、相談の受 付だけでなく、事実関係の調査等の役割も担う場合もあります。「相談の受付」の役割に限定する場合は、その後の事実関係の調査等は、人事担当部署などに引継もしくは外部専門家に事実調査の依頼をするなどの仕組があります。
7 再発防止のための取組をする
再発防止策と予防策とは表裏一体の関係になります。予防策を継続的に実施することで結果的に再発防止策になります。
【事例の活用】
社内・社外事例を検討し(厚生労働省のビデオ等)、社内にて工夫した防止策を考えるのが重要です。
上記のトップメッセージや組織長の説明会にて、関係当事者のプライバシーに配慮しながら、具体的な事例検討に基づいた改善策の説明も望ましいです。
以上、パワーハラスメントの7つの対策について解説させて頂きました。
ハラスメント対策にご不明な点がありましたら、弁護士にご相談した方が良いので、当事務所までご相談ください。