国際結婚した夫婦が離婚した場合~ハーグ条約でこう変わる

この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

国際結婚した夫婦が離婚した場合の、子供の返還や親子の面会ルールについて定めた条約に、1980年にオランダのハーグで採択された「ハーグ条約」があります。

先の日米首脳会談で、安倍首相はハーグ条約に加盟する方針を伝えました。日本がこの条約に加盟していない理由に、欧米では離婚しても両親に親権が与えられるが、日本の民法では離婚すると両親の一方にしか親権が与えられないなど、国内法との整合性が挙げられています。

これまでは、離婚した一方の親が未加盟国の日本に子供を連れ帰れば、もう一方の親は泣き寝入りせざるを得ませんでしたが、ハーグ条約に加盟後はこの点が解消されます。

例えば、父親の同意なしに母親が子どもを日本に連れ帰った場合、外国にいる父親から子どもの返還要求があると、日本の外務省は母子の居場所を調べて返還に向けた手続が始まります。子どもは連れ去られる前に住んでいた国に戻した方が望ましい、というのがハーグ条約の原則です。

裁判で決めることもできます。外国にいる親が日本の家庭裁判所(東京か大阪)に子どもの返還を申立ると、子どもが16歳未満であれば、裁判所が返還を命じます。ただし、次のいずれかに該当する場合、裁判所は子どもを返しません。
①連れ去られてから1年以上経過している。
②連れ去り前から申立人が子どもの養育を放棄していた。
③返還すれば子どもに危害が及ぶ。
④子どもが返されることを拒んでいる。

夫の家庭内暴力から逃げて身を隠し、居場所を知られたくないと考えている親もいます。そのような場合に備え、地方自治体にある配偶者暴力相談支援センターを窓口にする方法も検討されています。

 


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