相続・遺言

相続法改正の分かりやすい解説第1回(全3回予定)

 相続法については、昭和55年以後、大きな改正はありませんでしたが、高齢化社会に伴って、配偶者の高齢化も進みました。相続法の改正は,残された配偶者の生活に配慮する等の観点から,配偶者の居住の権利を保護するための方策等が大きく変わっています。主な改正のポイントを法務省の資料に基づいてご説明します。

1 配偶者短期居住権

  遺産分割協議の途中、相続人間で揉めていると遺産である建物に住んでいる配偶者に対して「家を売るから出ていけ」「家に住んでいるなら家賃を払え」等と言われることがあります。

 配偶者短期居住権は、被相続人所有の建物に無償で居住していた場合には,遺産分割によりその建物の帰属が確定するまでの間又は相続開始の時から6か月を経過する日のいずれか遅い日までの間,引き続き無償でその建物を使用することができます。

 配偶者に対する無理な追い出しを防止する方法になりますので、参考にして頂きたいと思います。

 2 配偶者居住権

 遺産分割協議の実例で結構問題となるのは、「法定相続分で自宅を相続すると預貯金は相続できないため生活費に苦労する」とか「自宅の価値があるため、自宅を相続すると代償金として他の相続人に金銭の支払いをする必要があり、やむなく自宅(住み家)を売却するしかない」との実例です。

 配偶者居住権は、配偶者の自宅の居住を守りながら預貯金などの他の遺産も取得できる選択肢を広げるものです。

 お勧めとしては、「遺言」にて配偶者居住権を配偶者に取得させる遺言文言を入れておくことが重要と思います。

3 配偶者に対する居住用不動産の贈与

 婚姻期間20年以上の夫婦が居住用不動産を配偶者に贈与するときは、2000万円までは贈与税の配偶者控除枠があります。そのため、この贈与税の配偶者控除枠を活用して生前に配偶者に居住用不動産を贈与する実例があります。

 しかし、配偶者に対する贈与は、遺産の先渡し(特別受益)を受けたものとなるため、遺産分割協議で配偶者が最終的に取得する財産額は、結果的に「贈与がなかった場合」と同じ結論になるのが原則です。これでは、配偶者の居住を守ろうとした意思が無駄になる可能性があります。

 改正法では、「遺産の先渡しを受けたものと取り扱う必要なし」との規定が設けられました。

 このように改正相続法は配偶者のための保護規定を多く規定しています。詳しくは当事務所にご相談を頂きますようお願いします


この記事を書いたのは:木下敏秀

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