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生命保険の失効について

生命保険の失効と消費者保護

生命保険料の払込みがないまま保険料払込猶予期間が過ぎた場合、通常、保険会社からの催告の手続きがなくても、生命保険契約は失効する旨が約款に定められています。

この無催告失効の約款が、消費者契約法に照らして無効であり、保険契約は失効の有効性が争われた事件があります。

業界関係者の関心も高かった裁判ですが、1審では原告敗訴、2審の東京高等裁判所では、「失効の規定が、消費者の権利を不当に制限するものであり、消費者契約法により無効である」との判決を出し、業界に激震が走りました。

最高裁判所は生命保険会社の上告によって、原判決を破棄、東京高裁に差し戻しという判決を下しました。

最高裁としては、

①保険料が払込期限内に払い込まれず、かつ、その後1か月の猶予期間の間にも保険料の支払いがない場合に、初めて保険契約が失効する旨を明確に定めるものであって、

②約款に、払い込むべき保険料等の額が解約返戻金の額を超えないときは、自動的に保険会社が保険契約者に保険料相当額を貸し付けて保険契約を有効に存続させる旨の条項(保険料の(自動)振替貸付制度)があり

③保険会社が、保険契約の締結当時、上記債務の不履行があった場合に契約失効前に保険契約者に対して保険料払込みの督促を行う実務上の運用を確実にしているときには、保険会社の「無催告失効」の約款の規定は消費者契約法に反するものではないと判断しています。

ただし、「保険契約者に対して保険料払込みの督促を行う実務上の運用」に関して、具体的な内容までは判示されていません。

生命保険の保険料の払込がされない場合、履行の催告なしに保険契約が失効する旨を定める約款が消費者契約法10条に違反して無効になるかについて、最高裁(平成24年3月16日判決)がなされましたが、その最高裁の破棄差し戻しの高裁判決が下されています。

最高裁の破棄差し戻しの高裁判決

高裁は、猶予期間条項による猶予期間が1カ月と長く定められていること、滞納保険料と利息の合計額が解約返戻金を超えない場合には、自動貸付条項により契約の存続を図る等の保険契約者保護の方策が取られていることを指摘し、保険料収納事務および未納保険料払込督促事務の運用等を総合考慮し、保険契約者の請求を棄却しています(東京高裁平成24年10月25日判決)。


この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

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