最高裁・非嫡出子(婚外子)の相続格差は違憲

この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

嫡出子(結婚している男女間の子供)の相続分と比べて、非嫡出子(婚外子、結婚していない男女間の子供)の相続分は「半分」とする、との民法の規定があります。

平成25年9月4日、最高裁はこの規定を「憲法違反」だと判決しました。

ここでは、憲法違反ということの他に最高裁が述べている大切な2点を触れておきますね。

1 相続格差規定は、遅くとも平成13年7月当時において憲法違反である。 これより以前に相続が発生したものについては基本的には合憲とする、と考えているようです。

2 今回の違憲判決は、すでに確定的となった法律関係には影響を及ぼさない。 すでに裁判所で決着済みのものや、当事者間で遺産分割協議が成立したものは、今回の違憲判決によって覆ることはない、ということです。反対に、まだ、決着していないものについては、今回の違憲判決を前提とした処理がなされることになります。

その後、同年12月11日には法改正が施行され、法律上、非嫡出子と嫡出子の相続分は等しいものとなりました(相続格差規定の撤廃)。

今後の実務の取り扱いは次のとおりとされています。

①平成13年6月以前に相続が開始した場合
旧法のとおり、非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1

②平成13年7月から平成25年9月4日までに相続が開始した場合
すでに遺産分割協議等によって確定したものについては影響はない。まだ、未確定(未分割)の場合は、非嫡出子と嫡出子の相続分は等しいものとして扱われる。

③平成25年9月5日から平成25年12月10日までに相続が開始した場合
すでに遺産分割協議等によって確定していたとしても再度分割協議をやり直せる。まだ、未確定(未分割)の場合は、非嫡出子と嫡出子の相続分は等しいものとして扱われる。

④平成25年12月11日以降に相続が開始した場合
非嫡出子と嫡出子の相続分は等しいものとして扱われる。仮に、非嫡出子に不利益な遺産分割をしたとしても再度分割協議をやり直すことはできない(法改正を知らなかったとの言い訳は認められない)。


この記事を書いたのは:
旭合同法律事務所(名古屋)