日本ライフ協会の出資法違反事件に思う

この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

高齢者の身元保証や生活支援を行う財団法人「日本ライフ協会」が無資格で現金を預かっていたとして、出資法違反(預り金禁止)で同協会の元代表理事らが逮捕された、という。具体的には、高齢者約40人から葬儀代などとして現金計約2000万円を預かった疑い、とのこと。

出資法2条は、業として預り金をすることを禁止していますが、出資法において禁止されている「預り金」とは、
①「不特定多数」の者から、
②「金銭」を受け入れて、
③「元本の返還を約し」た上で、
④「預け主の便宜」の目的のためにそれを保管する、
ものとされています(金融庁ガイドライン)。

報道によると、日本ライフ協会が預かった経緯は、日本ライフ協会が高齢者が亡くなった後に執行する葬儀代などに使うために預かったというもののようですから、元本の返還を約しているわけではなく、サービス料金の前払いのようなものとして預かっているようですから、出資法違反というのはちょっと無理があるように感じます。

もし、理屈を付けるとすれば、日本ライフ協会は、もともと葬儀代などのために使うつもりはなかったのに、葬儀代などに使う名目でお金を集めており、(葬儀代などに使うつもりがないなら)預り金を禁止する出資法の脱法行為に過ぎず、実質的には前記の「預り金」に該当する、とするしかないように思います。つまり、葬儀代などに使うつもりがないのにお金を集めた、という立件のやり方です(出資法の脱法行為との認定)。

しかし、葬儀代などに使うつもりがなくてお金を集めたなら、単に詐欺罪などで立件すれば良い話ですし、逆に、当初は葬儀代などに使うつもりでお金を集め、その後、不正流用してしまえば業務上横領罪として立件すれば足ります。
そういうことを考えると、日本ライフ協会の出資法違反は、別件逮捕の疑いが強いですね。

@時事通信参照


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