アスベスト労災の本数規定の裁判

この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

報道によれば、発がん物質のアスベスト(石綿)が飛散する建設現場で23年以上働いて肺がんで死亡した男性の遺族が、肺内の石綿の本数が基準に満たないために労災不認定としたのは不当として、処分取り消しを求める訴訟を岡山地裁に提起したとのことです。

アスベスト労災の本数規定では同様の訴訟の判決は5件あり、すべて原告側が勝訴しています。

アスベストの本数による認定制限は、厚生労働省の旧基準(2006年)には明示されておらず、2007年の事務処理通達で、乾燥肺1グラム当たりの石綿小体(たんぱく質で包まれた石綿繊維)が5000本未満は原則的に不認定としていました。

その後、厚生労働省は基準を改定し、「5000本以上の石綿小体が検出され、かつ石綿にさらされる作業の従事歴が1年以上」と明記しています。

今回の事件では、笠岡労働基準監督署は男性の肺内の石綿小体は1845本で基準を満たさないとして、労災不認定を決定したようです。

訴状では、原告は「国際的には1000本以上であれば仕事で石綿を吸ったレベルと認められている」と主張しています。


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