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諫早湾の開門差止(司法判断が事実上矛盾)木下敏秀

国諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防排水門の開門調査を実施すれば、農業などに被害が出るとして、干拓地の営農者らが開門差し止めを申し立てた仮処分の決定がありました。

主な争点は、①開門により調整池が海水になり、農作物に塩害が出る恐れがあるか②国が予定する対策工事で被害を防げるかどうかでした。

営農者らは「対策工事には不備があり、塩害や冠水によって農業や住民に被害が出る可能性がある。開門は有明海の再生につながらず、必要性は低い」と主張しました。

一方、国側は「対策工事をすれば被害は防止できる。福岡高裁の判決を履行する義務があり、有明海の再生を目指すためにも開門は必要だ」と主張しています。

対策工事は、開門に伴う農業用水対策の海水淡水化施設整備や堤防補修などです。国は13年9、10月に着手しようとしましたが、反対派の抗議に遭い三…たび見送っています。

裁判所は、「営農者らの権利を侵害する可能性が高い。開門調査の公共性、公益性は高くない。準備工事の実施可能性も高いと認められない」として、差し止めを認める決定をしました。

国に5年間の開門調査を命じた福岡高裁の確定判決と「事実上矛盾する」と指摘した正反対の司法判断となります。

高裁判決による開門の履行期限は12月20日に迫りますが、農業被害を防ぐための国の準備工事は、営農者らの抗議活動のため着手できていません。

国は準備を続ける方針のようですが、この決定で期限内の開門は困難になったようです。


この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

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