DV防止法 ~夫婦間の暴力 がまんしないで

この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

太郎 最近よくDVという言葉を聞くけどどういう意味?
花子 夫婦や恋人など密接な関係にある者の間で振るわれる暴力のことをドメスティックバイオレンス、略してDVといっている。
平成十三年に配偶者からの暴カの防止に関する法律ができ、夫帰間の暴力を規制するようになったのよ。
太郎 どういう意義があるの?
花子 「夫婦喧嘩は犬も食わない」というように、今まで深刻な暴力があっても家庭の問題として放置され、警察も「民事不介入」とか「警察は家庭に入らない」とか言って相手にされにくかった。

しかし、法律ができたことで保護がしやすくなったことは画期的ね。

太郎 夫婦に限られるの。
花子 一応「配偶者となっているけど、内縁関係にも適用される。
その代わり離婚してしまうと対象外になる可能性が高いので、離婚後も元夫からつけ狙われるような場合はストーカー防止法などで対処することになるわね。
太郎 夫帰間の「暴力」といっても言葉の暴力やいろいろあると思うけど。
花子 法律では「身体に対する不法な攻撃であって生命身体に危害を及ぼすもの」という定義になっているけど、ノイローゼになるような精神的暴力も合まれると解釈する余地はあるわね。
太郎 どんなことができるの。
花子 法はまず、都道府県に対し、配偶者暴力相談支援センターの配置を義務付けている。愛知県にも女性相談センター(電話相談番号052・913・3300)が配置されたわ。
また裁判所が保護命令を出して、当面の危機を排除できるようになった。
太郎 保護命令とは?
花子 配偶者からの暴力により生命身体に重大な危害を受けるおそれがあると判断できるときは、
1、6ヶ月間配偶者の住所や勤務先等に近づくな(接近禁止)
2、もしくは二週間住居から出て行けという命令(退去命令)
が出せるようになった。
太郎 どういう手続きをすれぱいいの
花子 まず、被害がある場合は、先ほどの支援センターや警察に相談し、援助や保護を求める。

これをしておかないと公証役場へ行って宣誓供述書を作らないといけないので、まず相談することが大事。
その上で裁判所へ申し立てをすることになるわね。

太郎 けど二週間だけ夫に出ていってもらっても短かすぎて仕方ないのでは。
花子 そうね。これは引越し先を見つける程度の期間でしかないわね。6ヶ月間近づくなというのも離婚調停や裁判をしていてはすぐ期間が来てしまうので、再度の保護命令も認められている。
この辺は専門家に相談したほうがいいわね。
また保護命令に違反すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金と罰則も用意されているので多少は予防効果が期待できる。
太郎 でも子供をつれて出るといっても、あてのない人、多いんじやない。
花子 そうね。実家があっても迷惑がかかると思い躊躇することもあるわね。
けれど行攻もDVに積極的になってきて、まず一時保護委託制度を整備し、学齢期を過ぎた子供も一緒に保護できるようになってきているわ。しかし、DVでは「帰宅」がありえないので、一時保護中に住居を捜し、自立の準備をしないといけない。母子生活支援施設がいくつかあるし、本来は売春防止法上の施設であった婦人保護施設もDVのケースにも利用できるようになった。その他、愛知県や名古屋市では、保護命令が発せられた場合は離婚前でも母子家庭と見なし福祉向け住宅を利用できる対象とされている。女性相談センター等で相談することが大切ね。
太郎 けど身体的暴力だけだと不十分のような気がする。
花子 そうね。給料日やお金を使う相談をする度に夫から「俺の金だ」と言われるとか、喧嘩になると「誰に食べさせてもらっているのだ」とかいうようなお金に関する精神的暴力や、子供の前で妻を非難・馬倒するとか、子供に対し「お母さんみたいになるなよ」等子供を利用して妻を支配しようとする精神的暴力の相談も多い。
保護命令を取れるかどうかはさておき、これも立派なDVだと思うわ。
本当は、言葉の暴力を含め、暴力を振るう側がカウンセリングを受けるなど、上手にコミユニケーションできる訓練をする必要があると思うんだけど、加害者の多くは自分が悪いとは思っていないので性質が悪いわね。

この記事を書いたのは:
旭合同法律事務所(名古屋)