離婚-子どもの引き渡し

この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

Q 夫と離婚話しになって、子どもを連れて実家に戻っていたところ、私の留守中に夫が子どもを連れ去ってしまいました。どうしたら、子どもを取り戻せるでしょうか。
A 私は、先日依頼を受けて、生後1歳の幼児を取り戻したことがあります。
依頼者は20代前半の女性で、長男を連れて実家に戻り、夫と離婚の話し合いを進めていました。依頼者が親族に長男を預け数時間外出していた間に、夫側から長男との面会の要請がありました。親族は、それまでにも何度か長男との面会をさせていたことから、翌日返してもらうという条件付きで夫側に長男を引き渡してしまいました。
ところが、長男を渡した途端、夫側は音信不通となってしまいました。
依頼者は、1ヶ月間、長男を取り戻そうと必死で努力をしましたが、どうにもならず、結局私に依頼することになったのです。
Q それで、どうなったんですか。
A 私は、生後1ヶ月の子どもさんですので緊急性があると判断し、直ちに家庭裁判所に「審判前の保全処分」の申立を行い、依頼者を子どもさんの監護者に仮に指定することと、子どもさんを仮に引き渡すことを求めました。
Q それで子どもさんを取り戻すことはできたのですか。
A はい。家庭裁判所の調査官が子どもさんの監護状況や両方の家庭状況を調査してくれ、裁判所の強い説得により、1ヶ月に2回夫に面会させるという条件付きではありましたが、夫側は長男を返すことに同意してくれました。
Q もし夫が同意しなければ、どうなるのですか。
A 最終的には、裁判所が、審判により、子どもさんを引き渡すべきかどうかについて決定します。
裁判所は、調査官の調査結果を踏まえて、子どもの健全な成長にとってどちらが監護者となるのが適切かを判断します。
子どもさんが幼い場合には母性が重視されますので、母親が監護者に指定されることが多いです。
Q 私のケースのように、夫と妻の間で子どもの取り合いになることも多いと思いますが、どんなところに注意すればいいのでしょうか。
A そうですね。子どもの親権の紛争では、子どもを実際にどちらが監護しているかという点が重視されますので、子どもさんを安易に相手方に渡さないことが大事ですね。
もし何からの事情で子どもを相手方に奪われた場合にはすみやかに弁護士に依頼し、早期に取り戻すための手続きを行うことをお勧めします。

この記事を書いたのは:
旭合同法律事務所(名古屋)