近隣トラブルによる暴行が正当防衛とされた事例

この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

私は、ラーメン屋を営んでいますが、隣にはマンションが立っています。

私は、店舗で使用した段ボールをマンションの家庭用ゴミ置き場に置きました。

事業用のゴミは有料で、家庭用ゴミは無料ですが、私はこのルール違反をしてしまいました。

その後、マンションに住んでいる男性が、店にやってきて、ゴミを捨てるなよ、と言ってきましたが、私は仕込み作業で忙しく、無視をしました。
男性が、なに無視してんだよと言って、店の中に入ってきたので、私は、男性の肩や胸を押して店舗外へ押し出しました。

すると、男性は私に対して、お前その濡れた汚い手で触るな、と述べて、私の右頬を1回殴ってきたのです。
これに対して、私は、男性の両肩を両手で押さえつけて路上に押し倒し、そして、路上に横たわる形で押さえつけたのです。

その後、男性からは怪我をしたとして民事裁判を起こされ、私も男性に対して、怪我をしたとして民事裁判を起こしました。

裁判所は、男性は突然私の顔面を殴るという一方的な加害行為をしたので賠償責任ありとしましたが、私の行為については、男性を制止するために取った行為であるから正当防衛に当たるとして賠償責任はない、と判断してくれました。

@東京地裁平成26年12月2日判決(判時2249号65頁)

(感想)
裁判としては、最初に手を出した人の方が負けという結論になりましたが、本来は、こういう事案は和解で解決することが多いはずです。判決にまで至ったということは、両方もしくは一方の当事者が、意地になっていたのだろうと思いますね。なお、刑事事件の方では、どちらも不起訴となっています。


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旭合同法律事務所(名古屋)