マンションの一室での自殺は売買の瑕疵にあたる
この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)
マンションの一室での自殺は売買の目的物の瑕疵にあたる
平成22年10月、当社はマンションを1棟ごと購入しました。
これは後で賃貸に出すという投資の目的での購入です。
しかし、平成22年4月にマンションの一室において自殺があったことが後で分かりました。
そこで、当社は売主に対し、自殺の事実を説明しなかったこと、及び自殺がマンションの「瑕疵」に当たるとして、損害賠償を求める裁判を提起したのです。
裁判所は、 売主は当時自殺の事実を知らなかったし、また、警察が死因についてなかなか情報を開示しなかったことなどから、自殺の説明をしなかったことを理由とする損害賠償は認めてくれませんでした。
しかし、自殺の存在は売買の目的物(マンション)の心理的な欠陥(瑕疵)に当たるので、それについての損害賠償は認められるとしてくれました。
その上で、自殺した部屋の賃料(月7万7000円)の喪失は、今後10年間にわたって一定の影響が出て合計390万円の賃料喪失につながると考えられること、当社が自殺した部屋でのお祓いのために30万円を拠出したこと、その他売買の交渉経過などから、売主に対して総額600万円の賠償を命じてくれました。
@東京地裁平成25年7月3日判決(判時第2213号59頁)
この記事を書いたのは:
旭合同法律事務所(名古屋)