被害者参加制度とは?検察官に申し出れば、刑事裁判に参加できますか?

この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

Q1 私の長女(当時6歳)を交通事故で死亡させた加害者が、過失運転致死とひき逃げの罪で逮捕され起訴されました。加害者の刑事裁判に親の私が出席して被告人に質問したり、遺族としての立場で意見を述べることができますか?
A 被害者参加制度を利用すれば、加害者の刑事事件の裁判に参加することができます。
Q2 被害者参加制度は誰でも利用できますか?
A この制度を利用できる人は、殺人、傷害、強制性交等、強制わいせつ、過失運転致死傷などの被害者、被害者が死亡または心身に重大な故障がある場合はその配偶者、直系の親族もしくは兄弟姉妹です。
Q3 被害者参加制度を利用するためには、どんな手続きをすればいいのですか?
A その刑事事件の公判を担当する検察官に、被害者または遺族の人が被害者参加の希望を申し出ます。すると、この申出を受けた検察官が裁判所に対して、検察官の意見を付けて参加申出を通知します。
Q4 被害者参加を検察官に申し出れば、必ず刑事裁判に参加できますか?
A 被害者参加申出があったことを検察官から通知された裁判所は、被告人または弁護人の意見を聴いた上で、犯罪の性質、被告人と参加申出者との関係その他の事情を総合的に考慮し、参加が相当だと判断した場合に被害者参加を許可します。許可されない場合もありますから、申し出れば必ず参加できるとは限りません。
Q5 被害者参加人になると、刑事裁判でどのようなことができますか?
A 被害者参加人は、公判期日に出席し、法廷では検察官席の隣などに着席して裁判に参加します。そして、検察官による証拠調べ請求、論告・求刑などの訴訟活動について、検察官に意見を述べたり、説明を求めることができます。また、情状に関する証人に対して証明力を争うために必要な事項を尋問することができるし、意見を述べるため必要な事項については被告人に質問することもできます。さらに、証拠調べが全て終わった後に、事実関係または法律適用について、法廷で意見を述べることができます。
Q6 被害者参加するについて、弁護士の援助を受けることができますか?
A 弁護士の援助を受けることができます。その場合の弁護士は、被害者参加弁護士と呼ばれます。経済的に自費で弁護士に依頼する余裕がない人は、被害者参加のための国選弁護制度を利用することができます。被害者参加弁護士が付いた事件では、検察官は、被害者参加弁護士と連絡を取りながら公判に臨みます。
Q7 被害者参加のための国選弁護の制度を利用できるのは、どんな場合ですか?
A 参加人の資力が200万円未満であれば、各都道府県に置かれている法テラスの事務所に申し出て、被害者参加弁護士の選定を求めることができます。
Q8 被害者や遺族が法廷で心情などの意見を述べることができるのは、被害者参加制度を利用する以外に方法はないのでしょうか?
A 被害者参加制度を利用しない場合でも、心情等の意見陳述制度というのがあります。これは被害者や遺族が、被害について現在の気持ちや被告人に対する感情などの意見を法廷で述べるための制度です。被害者参加ではないため、証人に尋問するとか被告人に質問することはできません。意見陳述を希望する被害者または遺族は、前もって公判担当の検察官に意見陳述希望を申し出ます。申出を受けた検察官は意見を付けて裁判所に通知し、裁判所が弁護人の意見を聴いた上で、意見陳述を許可するかどうかを決定します。これを許可する場合は、裁判所から意見陳述の申出人に対し、それを実施する公判期日などが通知されます。、

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