自治会と赤い羽根共同募金
この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)
平成18年、私が加入している自治会が、赤い羽根共同募金などへの募金に充てるために、自治会費を年間2000円増額する決議をしました。
私は、募金をするかどうかは各個人が決めるべきもので、自治会が一律に会員から徴収することはおかしいと思い、裁判所に対し、自治会の決議が無効であることの確認を求める裁判を提起しました。
裁判所は、
①自治会の性格から様々な価値観を有する会員が存在するのにこれを無視して会費化して一律に募金の協力を求め、その支払いを事実上強制するときには、思想信条の自由を侵害する。
②自治会は強制加入団体ではないものの、その活動は公共機関からの配布物の配付、災害時等の協力、清掃、防犯、文化等の各種行事など広範囲に及んでおり、地域住民が日常生活を送る上で欠かせない存在であって、会員の脱退の自由は事実上制限されている。
③自治会の決議に基づき募金を会費化して徴収するときは、これを納付しなければ強制的に履行させられたり、自治会からの脱退を余儀なくされる恐れもある。
と指摘しました。
その上で、自治会の決議は、会員に対して、募金の支払いを事実上強制しているといえ、そのような決議は、会員の思想信条の自由を侵害するものであるから、公序良俗に反し無効である、と判示してくれました。
@大阪高等裁判所平成19年8月24日判決(判時第1992号72頁)
この判決によると、自治会において地域の神社への寄附を募ったりすることがしばしば見受けられますが、それが事実上の強制を伴えば公序良俗に反し無効と言えます。
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旭合同法律事務所(名古屋)