モラルハラスメント
この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)
- Q セクシャル・ハラスメント、パワー・ハラスメントという言葉は昔から知っていましたが、最近モラル・ハラスメントという言葉を聞きました。モラル・ハラスメントとは何ですか。
- A モラル・ハラスメント(モラハラ)とは、簡単にいうと、精神的な嫌がらせのことをいいます。
モラハラの加害者は、最初のうちは言葉以外の態度や行動で被害者の言動をそれとなく非難し、徐々に自分の思い通りに支配していきます。
そこで被害者が自分を取り戻そうと抵抗すると、いよいよ精神的な暴力をふるいはじめます。
この暴力は、中傷・無視・冷たいまなざし・罵倒などの精神的暴力であり、被害者に責任を押し付けるような巧妙なやり方で行われます。
例えば、「おまえが悪い」「何故できないんだ」などと怒鳴る、あざ笑う、無視する、ため息をつくなどの行為を繰り返し行うことによって、被害者を追い詰めていくのです。
私たち弁護士も、夫から妻にこのような嫌がらせが行われるケースにはたびたび出会い、離婚原因、すなわち「ことばのDV」として理解してきましたが、モラハラの被害は実はもっと広く、恋人間、親子間、職場でも起こることが分かってきました。
- Q モラハラは、どのような特徴があるのですか。
- A まずモラハラは、マインドコントロールと似た性質があるために、被害者が自分が被害者であることに気づいていないケースが多いと言えます。
モラハラの被害者は、几帳面で、他者への配慮を働かせ、責任感が強い人が多いと言われており、加害者から日常的に嫌がらせを繰り返し受けることにより、「自分が悪い」「自分さえ我慢すればいい」などと思い込まされていることも多いようです。
このような場合、まず第三者が話しを聞いてあげて、まず自分がモラハラの被害者であることを気づかせることが必要になります。
- Q モラハラは、裁判で立証することが難しいと書いてありましたが、どういうことでしょうか。
- A 例えば、DVの場合は診断書や写真で被害を比較的容易に立証できるのに対し、モラハラの場合はそのような形で立証することは困難です。
録音テープなどがあれば勿論いいですが、そのような証拠がない場合も、何月何日に、どのようなことを言われた、あるいはされた、そのときどんな気持ちだったか等を詳しくメモしていただければ、立証することができることもあります。
とにかく諦めずに、弁護士に相談してみるといいということですね。
この記事を書いたのは:
旭合同法律事務所(名古屋)