おとり捜査は許されない
この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)
2015年2月19日静岡地裁は、元警察官の被告人に対し、覚せい剤の検挙実績を挙げる目的でおとり捜査を行った事実を認定した上、執行猶予付きの有罪判決を言い渡しました。
報道によると事案は次のようです。当時巡査部長の被告人が捜査費4万円を使って、元暴力団組員に覚せい剤を入手させました。
元組員がその覚せい剤を30歳代の男性に無償で譲り渡しました。
数日後30歳代の男性は覚せい剤使用の罪で警察に逮捕され、勾留のまま起訴されていました。
元組員と元巡査部長は、共謀による覚せい剤譲渡の罪で起訴され、元組員には既に有罪判決が言い渡され、現在控訴中です。
元巡査部長は元組員とのを否認し、無罪を主張していました。
30歳代の男性については、違法なおとり捜査の疑いがあるとして、検察官が釈放し起訴を取り消したため、既に裁判所で公訴棄却の決定がなされています。
捜査機関が罠を仕掛けて犯罪を創り出す「おとり捜査」が違法であることは言うまでもありません。
違法な捜査によって得られた証拠は、有罪認定の証拠として使うことができません。
このことが貫かれてこそ、司法の廉潔性が保たれ、司法への信用性も維持できます。
この記事を書いたのは:
旭合同法律事務所(名古屋)