「派遣切り」に負けるな!
この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)
- Q 僕の友人が派遣社員をしていたんだが、派遣元の会社からクビだと言われたんだ。派遣の場合にはいつでもクビを切られてしまうの?
- A 原則的には派遣の場合でも正社員と同じような保護があるんだが、少し制度が異なるので説明しよう。
正社員の解雇の規制
- Q 派遣ではない正社員労働者の場合の原則はどうなっているの?
- A 期間の定めのない雇用契約の場合には、解雇に客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当である場合しか解雇できないのが原則だ。
- Q だけど、最近では景気が悪いからと、どんどん人員削減をしているというニュースばかりだよね。
- A 「整理解雇」といわれる場合で原則よりも解雇や容易な面もあるが、
①会社の経営上、人員削減の必要があること、
②雇用主が解雇を回避するための努力をしていること、
③解雇される者の人選に合理性があること、
④事前に会社から十分な説明や協議がなされていることが必要であり、
逆にその要件を満たしていない場合には解雇はできない。 - Q パートやアルバイトの場合でも、解雇には制限があるのかな?
- A 雇用期間の定めがある場合でも、中途解約の場合には同様の制限がある。
- Q 期間が満了した場合には雇用契約は終了(雇い止め)になるの?
- A 期間満了後何度も契約が更新されていたり、業務の内容や勤務時間が正社員と変わらない場合には、同じような制限がある。
派遣労働者の解雇の規制
- Q 僕の友人の派遣労働者の場合には、解雇の制限はないのかな?
- A どのような理由で解雇(クビ)だと言われたのかな?
- Q 派遣先の工場が不景気で人員削減をしてきたと言っていたよ。
- A 派遣元の派遣会社と派遣先の工場との間の「派遣契約」と、
派遣元と派遣労働者との間の「雇用契約」とは別のものだ。
派遣先の工場から派遣契約の中途解約がなされたとしても、派遣元は直ちに派遣労働者を解雇することはできないんだ。 - Q どんな場合に解雇できるのかな?
- A 派遣労働者も、解雇に客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当である場合しか解雇できないのが原則だ。特に、派遣元が派遣労働者を常時雇用する場合(常用型派遣)には、解雇に制限がある。
- Q 違う形態の派遣社員もあるの?
- A 仕事が発生した期間だけ派遣元と雇用契約を結ぶ場合(登録型派遣)には、派遣契約が終了したことを理由に雇用契約を終了させることができる場合があるんだ。
- Q 常用型派遣の場合に、派遣先の仕事がなくても給料は全額もらえるのかな?
- A 派遣元は派遣労働者に対して休業手当(平均賃金の6割以上)を支払わなければならないんだよ。
- Q 賃金を支払ってもらえない場合にはどうすればいいのかな?
- A 労働基準監督署や弁護士に相談して請求手続きを取ったほうがよい。
- Q 派遣従業員に対する解雇が許される場合には、すぐにやめることになるの?
- A いいや。正社員と同じく30日前に解雇の予告をするか、20日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならない。
- Q 派遣先はいつでも派遣元との間の派遣契約を中途解約できるの?
- A 派遣先の都合によって派遣契約を中途解約する場合には、派遣先に対して、少なくとも30日以上前に中途解約の予告をするか、予告に代えて一定の損害賠償金を支払う必要がある。
解雇通告に対する対処法
- Q 会社を辞めてほしいと言われた時にはどうしたらいいの?
- A まずは、それが正式な解雇なのか、解雇理由は何か、きちんと確認したほうがいいね。単なる退職勧奨に過ぎない場合もあるので、早合点しないことだ。
- Q 退職勧奨の場合には断ってもいいの?
- A そうだね。退職してほしいと打診やお願いをするだけのことだ。
- Q しつこく退職勧奨を受けて退職したという話をよく聞くが問題はないのか?
- A 過度の退職勧奨は違法になる場合がある。その場合には、労働基準監督署や弁護士などに相談した方がよい。
- Q 退職勧奨に応じて退職した場合には、通常の解雇の場合と違いはあるの?
- A 雇用保険(失業手当)の取り扱いに違いが生じることがある。また、会社としても退職金などで優遇措置がある場合もある。慎重に検討すべきだね。
この記事を書いたのは:
旭合同法律事務所(名古屋)