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離婚と子の親権

最近、離婚事件を担当して感じるのは親権者の争いが昔に比べて非常に多くなったと言うことです。私が弁護士になった20年以上前は、親権は母親が取るのが当たり前という感覚でしたが、現在は父親が離婚に際して親権を強く主張されるケースが増えているように思われます。

親権者の指定に関する裁判所の判断の際に考慮される基準としては一般に以下のようなことが言われています。

①母性優先の基準(特に子供が乳児幼児の場合)

子供が乳児幼児の場合は、母親が監護養育することについて不適切であると思われる特段の理由がなければ、母親を親権者として指定すると言う基準です。

②現状尊重の基準

子供が現状の生活環境で安定しているのであれば、現在の監護環境を維持するのが子供の福祉に適するとの考え方です。ただし単純に現状を追認するということを意味するわけではありません。それを貫くと無理やり子供を連れ去ったようなケースでも容認することになってしまうからです。

③子供の意思の尊重の基準

おおむね子供が10才以上になると子供の意思も尊重することになります。なお子供の意思の尊重と言っても、単純に子供がどちらが親権者として良いと言ったというだけで決まるわけではありません。同居している親への配慮から本心に反することを言う可能性もあります。子供の本心を探ることが重要となるでしょう。調査官等が子供に会って子供の本心を調査することもあります。

④兄弟姉妹の不分離の基準

特別の理由がなければ兄弟の親権者は一致させるべきという考え方です。分離されることによる子供精神的負担に配慮する考えです。

⑤その他

その他の考慮事由としては、面接交渉の許容意思の有無(親権者となれなかった相手方の親に子供との面接交渉を認める意思が親権者となる親にあるかどうか)や奪取の違法性の有無(前述のように現状尊重の原則はありますが、現状になった方法が親の違法行為に基づいていないかどうか)などです。

いずれにしても裁判所における親権者の判断は、子供に取ってどちらが利益になるかという点を基準に判断することになります。その意味で父母も自分が「子供と離れたくない」とか「配偶者として不適格な人間に子供を渡せない」などという自分の感情だけではなく、子供の利益の観点から冷静に主張・判断することが必要になるといえるでしょう。

私が担当したケースで妻が子供を連れて実家に帰ってしまったケースがありましたが、実家で妻は子供を家に残したまま頻繁に男友達の所に外泊していることを夫がつきとめて調停で主張した結果、最終的に妻も親権を諦めて夫が親権を取得したケースがありました。ある意味で夫の子供に対する執念が実を結んだといえるかもしれません。

 


この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

愛知県名古屋市にある法律事務所です。

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