DV事例
この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)
妻が夫から暴力を受けていた事件
妻が夫から暴力を受けていた事件がありました。
さっそく裁判所に接近禁止命令の申立を行いました。
診断書を妻が取っていなかったので暴力の事実が明らかでなく裁判官は少し難色を示しましたが、詳しい陳述書を出すことで接近禁止命令の決定を得ることができました。
その後、直ちに離婚調停を申し立てましたが、夫が離婚を拒否したため裁判に移行することになりました。
離婚裁判中に夫が接近禁止命令に違反して妻に近付いたために警察は夫を逮捕起訴しました。
離婚裁判で裁判官は妻の言い分を認めて離婚認容の判決を出しました。
その後、夫はDV法違反で有罪判決を受けました。
なお本件は妻に資力が無かったため民事法律扶助を使って行いました。
DV事件における警察への相談
警察にDVの相談をした場合、警察は「配偶者からの暴力相談等対応票」を作成します。
配偶者が裁判所にDVに基づく保護命令の申し立てをした場合、警察が作成した「対応票」が裁判所に提出されます(DV防止法14条2項)。
なお、裁判所は必要があればさらに警察に説明を求める等をして(DV防止法14条3項)、迅速かつ適切に保護命令を発令できます。
早期の対応が重大事件の防止にもなります。
交際相手からのDV
交際相手からのDVと言われている暴力には、交際相手からの精神的暴力、身体的暴力、性的暴力、経済的暴力のすべてが含まれます。婚姻関係があるかどうかが違うだけで、その範囲は配偶者間の暴力と同じです。
配偶者からの暴力(ドメスティック・バイオレンス=DV)に係る通報、相談、保護、自立支援の体制を整備し、配偶者からの暴力を防止するとともに被害者の保護を図る目的で、平成13年に「配偶者暴力防止法」が施行されました。
この法律は、通称「DV防止法」と呼ばれ、何度かの改正を重ねて、次第に対象範囲が拡大され、平成26年1月3日から施行された改正法は、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」と名称を変更しました。
この新DV防止法が施行される平成26年1月3日からは、婚姻関係がなくても、交際相手と同居している人、または同居していた期間がある人は、DV防止法による保護を受けることができます。
交際相手と同居したことがない場合は、改正前と同じでDV防止法は適用されません。しかし、このような人も、ストーカー規制法の適用を受けます。
DV被害を受けているときの相談先
DVの被害を受けているときは、法律の適用があるかないかなどと考えている場合ではありません。
直ちに警察の生活安全課に相談して、保護を求めましょう。
急を要する場合は、被害届や告訴を提出しましょう。
それと同時に、執拗な交際相手から避難して、身の安全を確保しなければならないときは、都道府県の配偶者暴力相談センター(多くの県では婦人相談所が支援センターの機能を果たしている)などに連絡し、一時保護の措置を受けて、取り返しのつかない事態になる前に施設等への避難をすることが最優先です。
DV防止法の適用がないときでも、身の危険が迫っている場合は、シェルターなど身を隠す避難場所を探すのを手伝ってもらえることもありますから、最寄りの警察署か婦人相談所に相談することが大切です。
男性のDV相談が急増
妻が暴力・彼女が刃物を…男性のDV相談4倍に
被害相談が年々増加しているDV(ドメスティック・バイオレンス=配偶者や恋人からの暴力)で、男性からの被害相談が近年、急増している。
警察庁の調査では、2013年とその3年前(10年)の相談件数の増え方は、女性の1・4倍に対し、男性は4・1倍。
相談内容は「事業がうまくいかず、妻が精神的に不安定になり、暴力が収まらない」「交際中の彼女に刃物を振り回された」といったものなど様々だが、全相談件数に占める男性の割合は、10年の2・3%から13年は6・6%に増えた、という。
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旭合同法律事務所(名古屋)