児童手当の狙い撃ち差押は違法

この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

鳥取地裁で、口座に振り込まれた児童手当を狙った差押えは違法であるという判決がありました。

鳥取市の男性は、鳥取県が滞納していた県税回収のため、男性の預金口座に振り込まれた児童手当を差し押さえたのは違法だとして、手当金13万円の返還と慰謝料を含む計120万円を求める訴訟を起こしていました。

児童手当法は、同手当の差押えを禁止しています。しかし、1998年の最高裁判決では、預金に振り込まれた場合は預金と手当が区別できなくなるとして、預金の差押えは原則可能とされています。

今回のケースは、2003年6月、県税約24万円を滞納していた男性の口座に手当金13万円が振り込まれた9分後、県が預金を差し押さえました。振り込み前の口座残高は73円だったということです。

裁判所は、「県は、児童手当が振り込まれることを認識し、時期を合わせて差し押さえた」と指摘。「差押えのほぼ全額が児童手当であり、児童の健全育成を目的とした同手当の趣旨に反し、違法の評価は免れない。」と判断しました。その上で、県に対し、手当金の13万円を含む38万円の支払いを命じました。


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