その他

再度の執行猶予

執行猶予中に罪を犯した者に対し、刑法は1年以下の懲役か禁固の言渡しを受け、情状特に酌量すべき点がある場合のみ、再び執行猶予にすることができると規定しています。これが再度の執行猶予です。

しかし、執行猶予中に罪を犯すと実刑になるケースが大半です。それほど再度の執行猶予を得るのは難しく、高いハードルが設けられています。実刑になると、執行猶予が取消されるため、猶予されていた刑と今度の実刑分の刑とが両方併せて順次執行されます。

新聞報道によりますと、盗撮(県迷惑防止条例違反)の罪で懲役4月執行猶予3年の判決を受けていた男が、猶予の期間中に再び盗撮の罪で起訴されました。男は「スリル感がたまらず、癖でやった。」などと述べています。7月9日、神戸地裁は、再犯のおそれが高く実刑に処すべきであるが、男は急性骨髄性白血病の療養中で、服役に耐えられないなどとして、懲役8月保護観察付執行猶予5年の判決を言渡しました。

命には代えられないという点が、情状特に酌量すべきものということなのでしょう。言渡し後、裁判官から「再び盗撮すると実刑。命を大切にするため絶対しないように。」と説諭された男は、「ありがとうございました。」と一礼したそうです。裁判官の異例ともいうべき配慮が男の琴線に届き、何事もなく5年の猶予期間が経過すれば、そのとき再度の執行猶予に命が吹き込まれ、男の命も永らえたことになるのではないでしょうか。


この記事を書いたのは:旭合同法律事務所(名古屋)

愛知県名古屋市にある法律事務所です。

旭合同法律事務所(名古屋)の記事一覧はこちら