信託を利用した不動産の資産承継

不動産を子供らに生前に贈与するとき、一度に贈与すると贈与税が大変だからということで、贈与税の基礎控除(110万円)の範囲で、少しずつ持分所有権を移転する、ということをされる人がときどきいます(たいていは税理士さんのアドバイス)。
しかし、これだと、その都度、登録免許税や司法書士手数料がかかりますし、不動産登記簿謄本も複雑になってしまいます。
そこで、不動産を信託会社に「信託」する方法があります。
自分の不動産を信託会社に「信託」すると、不動産の所有権は信託会社に移転します(登記原因は「信託」です)。
そして、委託者(元所有者)自らが受益者となり、信託会社から「信託受益権」を受け取ります。その際、この信託受益権を有価証券化し、たとえば1000口などに小口分割します。
そして、所有者が子供らに、毎年少しずつ信託受益権(有価証券)を子供らに贈与していきます。
そして、所有者が亡くなったときに信託を終了させるようにし、子供らは贈与を受けた信託受益権を使って、信託会社から所有権移転をしてもらうことができます(登記原因は「信託取り戻し」となります)。
こうすることによって、資産承継をさせることができます。これだと登録免許税が少なく済みますし、不動産登記簿謄本も複雑にはなりません。
しかも、信託契約の中で、子供らが取得した信託受益権の過半数の決議で不動産の売却決議ができるように設定することができます。
こうした不動産の資産承継について研究を進めています。