離婚後の手続き

役所への届出等

 協議で離婚する合意ができたら、離婚届に必要事項を記入し、役所へ届け出る必要があります。調停で離婚が成立した場合や、裁判で離婚が確定した場合でも、10日以内に役所への届け出が必要になります。

 離婚をすると、基本的には旧姓に戻ることになりますが、離婚後も離婚の際に称していた氏(名字)を継続して名乗りたいときには、離婚が成立してから3ヶ月以内に届出が必要になります。

 子どもの戸籍に関しては注意が必要です。以下、子どもの親権者となった妻の立場でご説明すると、離婚が成立し、役所に届出をすると、夫の戸籍から抜けて、前の戸籍(例えば親の戸籍)に戻るか自分の新しい戸籍を作ることになります。その際、妻が子の親権者になることが決まっていても、当然に子どもも一緒に夫の戸籍から抜けることにはなりません。子どもも夫の戸籍から抜けて妻と一緒の戸籍に入るには、家庭裁判所に子の氏の変更許可の申立てをして、許可を得る必要があります。家庭裁判所の許可を得た後でないと、子どもが妻(母)の戸籍に移って妻(母)の氏を称することはできないのです。

そのため、子どもの親権者となった場合には、子の氏の変更許可の申立てをすることも必要になってきます。

 年金分割については、調停や裁判で年金分割が決まった場合には、届出用の調書を社会保険事務所に届け出る必要があります。

公的支援

離婚された場合、特に母子家庭の場合には、経済状況が大変になることが多いです。養育費をもらうほかに、以下の公的な制度もありますので、活用できるものは活用したほうがよいでしょう。

なお、都道府県・市町村によって公的支援は様々ですし、内容や種類も異なることがありますので、詳しくはお住まいの市町村にお問合せください。

 児童扶養手当

いわゆる母子手当と言われるもので、地方自治体から支給される手当です。
支給される金額については、子どもの人数や受給資格者の所得によって異なります。
お住まいの市町村へ申請が必要です。

 児童手当

0歳から中学校卒業までの子どもを養育する親等に対して支給される手当です。
支給金額は、以下のとおりとなっていますが、所得制限がありますので、注意が必要です。

①   0歳から3歳未満の子どもは月額1万5000円
②   3歳から小学校終了前の子どもは月額1万円(第1子・第2子)か1万5000円(第3子以降)
③中学生については、月額1万円

 一人親家庭の医療費助成制度

一人親家庭等の方が病院などで受診した場合、医療費の自己負担額を助成する制度です。

児童扶養手当

次の要件に当てはまる18歳以下の児童(一定の障害があるときは20歳未満)を監護している母、監護し、かつ生計を同じくしている父、又は養育している方に支給されます。

1 父母が婚姻を解消した児童
2 父または母が死亡した児童
3 父又は母が重度の障害にある児童
4 父又は母から引続き1年以上遺棄されている児童
5 父又は母が引続き1年以上拘禁されている児童
6 母が婚姻しないで生まれた児童
7 父・母ともに不明である児童
8 父(または母)が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)第10条第1項による保護命令を受けた児童

年金分割の届出期間

離婚する夫婦間においては、年金分割という制度があります。
裁判などで年金分割が決まっても、それを年金事務所に届け出ることが必要なのですが、この届出期間は、原則として離婚から2年以内です。

先日、年金分割の決定を貰っていたのに、年金事務所に届出をする必要が無いと勘違いしていて、届出期間が経過してしまったという相談がありました(その相談者の事案では残念ながらどうにもなりませんでした)。
年金分割するためには、年金事務所への届出期間にご注意下さい。

面会交流の実施 再度の調整

離婚後,一方の親(監護親)のもとで暮らす子どもが離れて暮らす親(非監護親)と面会することが認められています。

実際に面会交流を実施するためには、具体的に、面会の時期・場所、面会時間、面会方法、面会のための連絡方法等を決める必要があります。

もっとも、一度話し合った内容で面会交流を実施し続けなければならないというものでもありません。

なぜなら、話し合った内容での面会交流が子どもの成長やライフスタイルに合っていないと、結果的に子どもに無理を強いることになり、子どもの健全な発達を妨げてしまうことになり、面会交流が認められる本来の目的に反してしまうからです。

そこで、面会交流の話し合いの場では、数年先の再調停を予定した話し合いの実施を行うことや、数年後に、再度、調停を申し立てて話し合いを再開し、その時々の子どもの状況に合わせた面会交流の実施の再調整を行うことができます。